研究課題
(A)isll遺伝子群と運動神経細胞の特異化我々は、これまでに3種の独立したゼブラフィッシュIslet-1類似蛋白のcDNAクローンを単離した。各体節の境界より僅かに前に位置するRoPのみがisl1の発現を増強させるのに対して、isl2mRNAの発現パターンは、CaPだけで発現する。また、isl3mRNAは、どの1次運動神経細胞でも発現せず、かわりにCaPによって支配される、腹側の筋節(myotome)のみで発現していることが判った。最近、islet1蛋白に関しては、LIM領域がホメオボックスのDNA結合を妨げるというin vitroの結果が得られており、intactなisl1の過剰発現は、isl1本来とは逆の作用を及ぼすのかもしれない。この様な可能性を考慮し、現在、LIM領域を欠損させたり、一部を改変した変異isl1cDNAを作製し、新たに異所性発現を試みている。(B)apterous/LH2 類似ゼブラフィッシュ遺伝子と脳の初期神経回路網形成我々は、ショウジョウバエapterous/マウスLH2産物と高い類似性を示す蛋白(LH-Z)をコードするゼゼブラフィッシュcDNAを得た。受精後30時間のゼブラフィッシュ胚では、LH-ZmRNAは、終脳・間脳境界、中脳・間脳境界、中脳・後脳境界に沿っても顕著な発現が見られ、また後脳においては,rhombomere同士の境界に沿って周期的に発現していることが判った。これらのLH-Z発現領域は、ゼブラフィッシュ胚の脳で初期神経回路網の軸索が将来伸展する部分の神経上皮細胞と多くの場合一致した。
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