研究概要 |
今年度において、我々はhnRNP D蛋白質の機能構造相関を明らかにする目的で、cDNAをクローニングし、その一次構造を明らかにした上で、蛋白質全体、および各ドメイン単独やその組み合わせのrecombinant蛋白質を大腸菌を用いて産生させ、一本鎖RNAオリゴヌクレオチドとの結合特性を比較し、以下のような結果を得た。 1)hnRNP D蛋白質は、アミノ端に二つのRBDを持ち、カルボキシル端にRGGの配列に富むRGGモチーフを持つ2xRBD-RGG構造を示す。 2)二つのRBDをアミノ端よりRBD1,2とすれば、RBD-1とRGG領域をコードする部分にalternative splicingによると思われる配列の挿入を持つmRNAが存在し、その結果、それぞれの領域に19および49アミノ酸の挿入が予想される。 3)RBD1、RBD2、RBD1+2および全長に相当するrecombinant蛋白質を用いたゲルシフトアッセイおよびフィルターバインディングアッセイの結果、RBD単独、すなわちRBD1やRBD2においても配列特異的一本鎖結合を行う。さらに、Kd値による比較より、RBD1+2は、RBD1およびRBD2の結合能を相加的に加えた結合能を示し、最後に、全長のrecombinant蛋白質の結合能はそれらをさらに上回ることが明らかになった。以上により、複数のRBDはお互いに独立して存在し機能すること、hnRNP D蛋白質においては、RBD1とRBD2とは一次構造に差が見られるものの、同じような核酸結合能に関する配列特異性を有することが明らかになった。
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