研究概要 |
【目的】オオムギのプラスチドリボソームの構造、とりわけその蛋白質構成を調べるとともにそれらリボソーム蛋白質が光環境に応答してどのように変化するかを調べた。 【結果】(A)プラスチドリボソームの蛋白質構成 単離した無傷プラスチドのストロマ画分をショ糖密度勾配遠心にかけ、70S画分から粗リボソームを調製し、これにより50Sと30Sサブユニットを単離し、その蛋白質構成を調べた。その結果、30Sサブユニットと50Sサブユニットにはそれぞれ23,36種の蛋白質が同定された。このなかには15種の中性〜酸性蛋白質が含まれており、大腸菌の6種と比べきわだって多かった。また、14種のリボソーム蛋白質のN末アミノ酸配列を調べたところ、そのなかの5種はプラスチド特異的リボソーム蛋白質であった。また、最も酸性を示すリボソーム蛋白質のcDNAを単離し、蛋白質の全アミノ酸配列を調べたところ、大腸菌のL31と相同な蛋白質であった。しかし、プラスチドリボソーム蛋白質の場合、C末に酸性アミノ酸を多く持っており、特徴的な構造をしていた。(B)光に応答するリボソーム蛋白質の検索 緑化プラスチドよりリボソームを単離し、その蛋白質構成を比較した。その結果、弱酸性領域に光によって誘導されるリボソーム蛋白質がひとつ見い出された。この蛋白質のN末アミノ酸配列を調べたところ、データーベース中には相同する蛋白質は見つからなかった。
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