研究概要 |
脳認知系において、運動系における発火率コード(1次統計符号化)とは異なる、いわゆるtemporal codc(2次統計符号化)が情報の基本コードである可能性を実験的、理論的に検証した。とくに。 (1)認知系の基本コードに関する数理的研究 (2)動的細胞集成体仮説の数理的基礎付けとしての時空間ダイナミクスの研究 (3)時空間コーディングの原理-理論モデルによる研究 (4)実験的接近として、多細胞同時活性記録実験の準備、を行った。 (2)については、最近の神経生理学実験データの基礎の上に、1つの可能な抽像-仮説として「動的細胞集成体仮説」を提唱、その生理学的基礎、およびそのダイナミクスの数理的な基礎付けとして、 a.機能的結合系(functionally connected system)」の概念の導入 b.機能的結合系のダイナミクス、の議論を行った。 (3)については、結合問題など、コーディングの基本問題の研究のために、単純な理論モデル(Simple Model-Ichinose,K.Aihara,&H.F.1994)を構成した。このモデルは、非同期coincidence detector細胞系によって、時空間パターン検知器をなす。また、時系列パターンの空間的構造への動的埋めこみとしての“メモリー"、“学習"のメカニズムへについて重要な知見が得られた。 (4)伊藤浩之は、テトロード(4重)電極による多細胞同時活性記録技術(伊藤浩之)の開発を行った。米国California大学Davis校C.Grayとの共同研究である。
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