研究課題/領域番号 |
06260244
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
渡辺 正孝 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 副参事研究員 (50092383)
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研究分担者 |
白川 修一郎 国立精神神経センター, 精神保健研究所, 精神保健研究室長 (20100141)
小田桐 恵 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (10260308)
彦坂 和雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (60129004)
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キーワード | 前頭連合野 / 学習 / 機能的再編成 / ニューロン活動 / 神経回路 |
研究概要 |
本研究は異なった性質の2種類の課題を訓練したサルから前頭連合野のニューロン活動を記録することにより、高次機能を支える神経回路の特質を調べようとしたものである。手続き及び結果は次のようである。 (1)サルにある餌、あるいはその餌と結びついた中性刺激を見せた後、遅延期間をおいてサルがパネル押し反応をすると、その餌を与えるという「連合課題」の訓練をする。次にサルに、右か左の餌箱のどちらかランダムにりんごとかレ-ズンなどの餌、あるいはそれと結びついた中性刺激を提示し、一定の遅延期間後にその刺激の提示された側にサルが反応すればその餌を報酬として与えるという「遅延反応課題」を訓練する。 (2)同じニューロンの活動を連合課題と遅延反応課題の両方で調べたところ、前頭連合野には課題が違うと機能的に全く異なった役割を果たしていると考えられる活動を示すものが多数見出された。 (3)また、このように課題の違いを反映した活動を示した前頭連合野ニューロンは、課題が変わると、きわめて柔軟かつ速やかに(わずか2-3試行の経験だけで)、その新しい状況に対応した活動を示した。 (4)前頭連合野の各ニューロンは、潜在的にいろいろな機能を果たし得る能力をもっており、学習によりそのうちのいくつかの機能を実際に持つようになる。そして状況が変化した時(課題が変わった時)には、それがすでに熟知しているもの(学習している課題)である場合、前頭連合野内で速やかにそれに応じた「機能的再編成」がなされ、各ニューロンもそれに応じた活動をするようになると考えられる。
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