研究概要 |
出芽酵母の第6染色体の整列クローンバンクを利用し,熱ショック,グルコース非存在下での培養,および増殖の定常期のストレス条件下で転写活性の変化する遺伝子を多数同定した。それらの遺伝子のいくつかの塩基配列を決定し,予想されるアミノ酸配列のホモロジー解析,転写開始点の決定,遺伝子破壊などにより解析した。これらの遺伝子のうち,アミノ酸の代謝に関与しているL-アラニン・グリオキシル酸アミノ転移酵素の遺伝子(AGT1)と類似しているVI-A,および,グルコースによって抑制されるものと誘導される遺伝子が交互に並ぶ領域中でもっとも変化の激しいVI-61の二つの遺伝子について詳細に解析した。両遺伝子は酵母の生育にとって必須ではない。両遺伝子の上流部をlacZにつなぎ,異なる培養条件下でβ-ガラクトシダーゼの活性を指標としてストレスに応答するシス配列の同定を進めた。また,より一般的にストレスに応答する遺伝子を同定するために,differential hybridization法によってストレス条件下で発現する遺伝子のmRNAを濃縮し,cDNAバンクを作成し,解析を進めていくための手筈を整えた。
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