我々はこれまでコレラ発症のメカニズムをコレラ毒素がもつADP-リボシル化活性に着目して研究してきた。その結果、コレラ発症のメカニズムに3量体GTP結合蛋白質と低分子量GTP結合蛋白質とが重要な役割を担っていることが明らかにされた。特に低分子量GTP結合蛋白質のARFは、コレラ毒素のAサブユニットに親和性をもち、そのADP-ノボシル化活性を数倍に亢進させること、さらに、その亢進作用の酵素学的解析結果を詳細に報告してきた。さらに、我々は、ARFと分子量的に非常によく似た蛋白質で、ARFとは全く逆の作用を示す蛋白質ARIを発見し、精製することができた。そこで、精製ARFとARIを用いて、コレラ発症のメカニズムの解析を行なう準備がすでに出来上がった。
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