研究課題/領域番号 |
06265217
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
湊 長博 京都大学, 医学部, 教授 (40137716)
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研究分担者 |
服部 雅一 京都大学, 医学部, 助手 (40211479)
久保田 浩司 京都大学, 医学部, 助手 (80263094)
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キーワード | T細胞抗原レセプター / 胎児性抗原 / 胎生癌細胞 / 4F2抗原 / 髄外造血 / 胎生造血 |
研究概要 |
髄外造血に伴って生成されるT細胞亜群(CD3^+4^-8^-)の少くとも一部は、極めて限定されたT細胞抗原レセプター(TCR,α/β鎖)、インバリアントVα4/Vβ2、を発現している。成獣のリンパ系組織ではしかし、このインバリアントTCRは全く検出されない。そこで、同インバリアントTCRの発現を、リバースPCR法を用いて、胎生期において検索した。その結果、それは、胎生初期(10日〜14日目、胸腺組織形成以前)において、ほゞ唯一のTCRとして選択的に発現されていることが判明した。同インバリアントTCRは、胎生15日目以降、胸腺の発達に伴い、通常のT細胞が成熟するに伴って急速に消失傾向を示した。同時に、同インバリアントTCRのリガンドの候補としてすでに我々が報告してきた4F2抗原の発現についても、個体発生的検討を行った結果、同抗原も胎生初期には諸臓器に広く発現されており、胎生後期から生後にかけて、精巣、脳を除いてその発現が消失していくことが確認された。 以上の結果から、インバリアントVβ2/α4TCRを発現するT細胞亜群は胎生正常自己抗原である4F2をリガンドとし、胎生初期、および生後の異常な造血環境において生成し、何らかの制御作用を担うユニークな調節性T細胞である可能性が強く示唆された。
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