研究概要 |
個体レベルでBar遺伝子特異的エンハンサー活性を測定し、BarH1/BarH2間80kbにわたり分布している13以上のエンハンサーの位置及びサイズを決定した。これによりBarH1/BarH2転写制御系解析のための第一段階は終了した。BarH1/BarH2の肢での発現をモデル系として、BarH1/BarH2遺伝子を制御する上流遺伝子の効果を調べた。肢での環状及び爪での点状のBarH1/BarH2発現は、hedgehog/winglessにより構成される原基上の二次元位置情報(直交系)により支配され、環状のBarH1/BarH2発現の中心や、二つの爪の中点がhedgehog,wingless発現領域の交点近傍に形成されることが分かった。winglessの発現領域を変えることによりBarH1/BarH2の環状及び点状の異所的発現が誘発され、結果として肢の重複が生じる事が示された。これらの結果を基に、BarH1/BarH2の発現に二次元位置情報が重要な役割をはたしていることが分かった。また、肢原基の単離されたエンハンサーの発現を触角が肢に変わるホメオボックス変異株の中で発現させると触角でも肢のエンハンサーが発現することが分かった。触角でのwingless/hedgehogの発現は、肢とほとんど同じなので、この結果から、BarH1/BarH2の肢での発現には、位置情報とその拝啓で働くホメオティック遺伝子の二つの制御システムが最低必須であることが分かった。
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