研究概要 |
(1)DREFのDNA結合ドメインと二量体形成ドメインはN端近くの90アミノ酸残基(16-115aa)が担っていることを証明した。また、モノクローナル抗体の一つがDNA結合ドメインを認識し、DNA結合活性を抑えることを、証明した。 (2)組換え型DREFを用いて、DREのコンセンサス配列が、TATCGATAであることをキャステイング法で明らかにした。ただし、中心のCGを除く5′,3′側の各3bpのうち1bpのみが変異してもin vitroでは、DREFが結合可能であった。この結果は、トランスジェニックフライを用いて行ったin vivoでのDRE配列の要求性とよく合致した。 (3)DREF遺伝子のプロモーター領域の解析により、DREF遺伝子自身の発現制御領域にも、3つのDREが存在し、いずれも正の調節配列として機能していることをCATアッセイで明らかにし、また、これらのDRE配列にDREFが結合することをゲルシフト法で証明した。このことは、DREF遺伝子の発現が自己制御されていることを示す。 (4)DRE/DREFシステムを介して、形態形成遺伝子のひとつであるzerknulltが、複製関連遺伝子を抑制的に制御することを明らかにしてきたが、DREF遺伝子プロモーターがzerknulltによって抑制されることを証明した。 (5)ウエスタンブロット法で、DREFタンパク質は、未受精卵では低く、受精後は胚発生の進行に伴って増加することを明らかにした。これは、受精後新たに起こるDNA複製関連遺伝子の発現に対応していると思われる。また、DREFは、成虫や蛹でも比較的高く発現されており、DNA複製関連遺伝子以外の遺伝子も制御している可能性が示唆される。 (6)DREFは,受精後約2.5時間の胚から核に局在するようになり、DNA複製遺伝子のzygoticな発現誘導に寄与していることが推測された。
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