研究概要 |
マウス胚幹(ES)細胞にジーンターゲッティング技術を応用することにより、ある1つの遺伝子を不活化させるだけでなく、複数の遺伝子を含む領域の欠失を引き起こすことも可能になると考えられる。本研究では通常のジーンターゲッティング法および、バクテリオファージP1由来のcre/loxシステムを用いて、ジーンターゲッティングの技術を特定の染色体領域の欠失への応用を検討することである。これまで通常のジーンターゲッティング手法を改良し、C3G,PAFR,c-mp1などの遺伝子に関して効率よくES細胞でジーンターゲッティングに成功し、さらにノックアウトマウス作製に成功した。また、loxPで挟まれた配列をES細胞に取り込ませ、cre発現プラスミドを一過性に導入すると、その配列が効率よく除かれることを示した。さらに、loxPで挟まれた配列をもつトランスジェニックマウスの受精卵にマイクロインジェクションでcreを一過性発現させると、効率よくその配列が除去されることを示した。今後、ES細胞におけるcreの効率的な発現のために、アデノウイルスベクターにcreの発現ユニットを組み込んだものを製作する。MHC領域の数百kb離れた2つの遺伝子の各々のジーンターゲッティング法によりloxP配列を挿入いたES細胞を作成する。そのためにneo遺伝子以外の選択マーカー遺伝子として、新たにブラストサイジンS耐性遺伝子bsrを検討する予定である。
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