研究課題/領域番号 |
06268217
|
研究機関 | 大阪府立母子保健総合医療センター・研究所 |
研究代表者 |
吉田 進昭 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 免疫部門, 部長 (10250341)
|
研究分担者 |
菊谷 仁 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (80161412)
末松 佐知子 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 免疫部門, 研究員 (50250345)
|
キーワード | ジーンターゲティング / 相同的組換え / CD23 / CD40 / T-B細胞間相互作用 / クラススイッチ / 低親和性IgEレセプター / 胚中心 |
研究概要 |
リンパ球表面に発現している分化抗原はCDシリーズで知られているが、これらは細胞間相互作用やシグナル伝達において重要な機能を担っている。主にB細胞上に発現しているCD40及びCD23を欠損するマウスをジーンターゲティング法により作製、解析した。 CD40を介するシグナルは、二次シグナルとしてB細胞の増殖、活性化に関与することが示唆されてきたが、この欠損マウスにおいてはリンパ球の分化成熟には異常を認めなかった。しかし、T細胞依存性抗原刺激時の免疫グロブリンクラススイッチは障害されており、血中のIgM以外のクラスの免疫グロブリン低値と共に、CD40からのシグナルのクラススイッチにおける重要性が明らかとなった。また、二次リンパ濾胞での胚中心の形成不全もみられ、胚中心におけるB細胞の成熟、活性化のCD40を介したシグナルの重要性が明らかとなった。一方、T細胞非依存性抗原に対する免疫応答は正常で、クラススイッチの障害が認められなかった。現在、このマウスにおける免疫記憶、抗体の親和性増強等を解析中である。 またCD23はIgEに対する低親和性受容体でもあり、IgEの制御に関与している可能性がある。CD23欠損マウスはリンパ球の分化、免疫応答、寄生虫感染実験において対照マウスと差異を認めなかった。IgE産生のネガティブフィードバック制御の可能性を示す結果も得られたが、マウスの遺伝的背景により免疫応答も影響をうけ、慎重な解析が必要である。また、IgEを介する抗原提示能の増強がこのマウスではみられず、生体におけるCD23の重要性が示唆された。しかし、アスペルギルス吸入実験におけるアレルギー発症へのCD23の関与は明確にならず、現在方法をかえて解析中である。 一方、CD21ノックアウトに関しては、ターゲティングベクターのES細胞への導入を試みている。
|