今年度は神経系で発現する細胞接着分子カドヘリン、およびその細胞内制御因子カテニンの内、cad11とα-Nカテニンの遺伝子を単離し、標的遺伝子組換えをするためのベクターを作製した。更にcad6についても遺伝子を単離し、現在同様にベクターの構築中である。 ベクターを作製したcad11とα-Nカテニンについて、マウス胚幹細胞J7に電気穿孔法で導入し、G418耐性の株を集めた。現在これらの細胞株からDNAを抽出し、相同組換えにより目的の遺伝子に変異が導入された株をサザンブロッティング法で選別している。正しく組換えがおきた株が得られ次第胚盤胞期のマウス胚に導入してキメラマウスを作製する予定である。 また、cad6についてはこれま調べられた胎生早期だけでなく、生後3日の時点の脳における発現をwhole mount in situハイブリダイゼーション法で検討した。かなり沢山の領域で発現が見られたが、海馬のCA1領域や、間脳の視床後核群などに強い発現が見られ、これらの神経核の形成や、機能にこのカドヘインが関わっている可能性が示唆された。 今年度の研究を遂行するにあたって、補助金は主に細胞培養用試薬および分子生物学的操作、に必要な試薬類の購入に充てられた。
|