1)微量の材料からのcDNAライブラリーの作製 胚発生解析のために、cDNAライブラリー作製の微量化をおこない、0.1μgのTotal RNAから解析に必要なコロニー数を得る事が出来た。これは、従来法に比べ100〜1000倍の微量化である。この方法を用いて、約30個の8細胞胚より、ライブラリーを作製した。 2)cDNAの部分配列決定 無作為の抽出によるcDNAクローンのTagシーケンシングを行い、前述の8細胞の他、脱落膜組織、7.5日胚(全体)、17.5日脳等からそれぞれ約1000クローンのTagシーケンスを得た。いずれのライブラリーでも1000クローン中には約600種の異なった遺伝子配列が見いだされ、それぞれの配列を遺伝子配列バンクに対して検索したところ、約70%が新規の遺伝子であった。 3)データ整理及び検索システムの構築 上記データを、配列ID-各ライブラリーでの発現頻度-塩基配列というカード状のデータベースにまとめ、さらにそれを電子メイルで検索出来るシステムを構築した。今後も発生の各段階で可能な限り胚を解剖学的に分断して同様なTagシーケンシングをつづけることで、このデータベースを拡大すると、各配列は無関係な細胞で共通に発現しているハウスキーパ-群と、組織や時期特異的に発現している遺伝子群に分類されてゆく。
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