研究課題/領域番号 |
06271212
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中西 友子 東京大学, 農学部, 助教授 (30124275)
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研究分担者 |
松本 聡 東京大学, 農学部, 教授 (20032295)
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キーワード | 酸性土壌 / アルミニウム / ダイズ / フローサイトメトリー / 細胞周期 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 放射化分析 / 中性子ラジオグラフィ |
研究概要 |
酸性土壌中で活性化したアルミニウムの影響は植物根の伸長阻害として顕著に現れ、しかも幼植物の段階で認められることから、根に於ける細胞分裂が阻害されていると推測されている。本研究ではまず、ストレスを受けたダイズ植物組織(特に根)の細胞周期の測定をフローサイトメトリ法で行った。100μM塩化アルミニウムで処理した水耕栽培中のダイズ根からプロトプラストを分離し、Propidium Iodedeで核染色した後、細胞周期を測定した。アルミニウム処理により細胞周期は、コントロールと比較すると、S期の細胞数が約10%増加し、Go/G1期及びG2/M期は減少することが判った。よってアルミニウムにより伸長を阻害された根は、細胞周期がS期からG2/M期に移行せず停止していることが示された。なお、ストレスを受けた植物根細胞の、フローサイトメトリによる解析は本研究が初めての報告である。次に、根におけるアルミニウムの取り込みを可視化するため、従来のアルミニウム染色法に改良を加えた。そして、lumogallion染色法を用いることにより、共焦点レーザー顕微鏡を使った高感度な根細胞中のアルミニウムの動態解析に初めて成功した。アルミニウム処理時間を変化させることにより、短時間(6時間)で根の分裂組織中に高濃度のアルミニウムが蓄積され、その後経時的に吸収量は減少していくことが、lumogallion蛍光量を測定することにより示された。また、地上部への移行は殆ど認められなかった。本アルミニウム染色法により細胞内の数ng以下のアルミニウムが定量・解析することが可能であることが示された。さらに、培養細胞を用いて同様の実験も行ったところ、細胞内アルミニウム蓄積動態に関する結果は全く異なったことから、酸性土壌におけるアルミニウムストレス解析のためには、植物体自身を用いた研究が重要性であることが示唆された。
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