研究課題/領域番号 |
06271240
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 京都大学, 化学研究所, 教授 (30027023)
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研究分担者 |
平澤 敏子 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (80238352)
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助手 (70182821)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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キーワード | 加水分解的脱ハロゲン反応 / デハロゲナーゼ / L-2-ハロ酸デハロゲナーゼ / DL-2-ハロ酸デハロゲナーゼ / 反応機構 / 一時構造 |
研究概要 |
Pseudomonas sp.YLのL-2-ハロ酸デハロゲナーゼは、L-2-ハロ酸の加水分解的脱ハロゲン反応を触媒し、対応するD-2-ヒドロキシ酸を与える。本酵素の触媒反応機構を解析した。1分子の酵素が1回だけ反応を触媒するSingle Turnoverの反応と、1分子の酵素が複数回反応を触媒するMultiple Turnoverの反応をH_2^<18>O中で行い、生成物2-ヒドロキシ酸への^<18>Oの取り込みの有無を調べた。L-2-クロロプロピオン酸を基質としたところ、生成物乳酸への^<18>Oの取り込みはMurltiple Turnoverの反応でのみ認められた。これは、溶媒の水分子の酸素原子が、いったん酵素分子に取り込まれた後、基質に取り込まれたことを示唆している。H_2^<18>O中で反応を行った酵素をプロテアーゼで分解し、得られたペピチド断片をタンデムMS/MS法で分析した結果、Asp10に^<18>Oが取り込まれていることが明らかとなった。以上の結果から、酵素のAsp10の側鎖カルボキシル基が基質のα-炭素を攻撃してハライドイオンが脱離し、生成したエステル中間体が溶媒の水分子によって加水分解されて2-ヒドロキシ酸が遊離するという機構で、反応が進行するものと考えられた。 DL-2-ハロ酸デハロゲナーゼは、2-ハロ酸の両異性体に作用し、立体反転で対応する2-ヒドロキシ酸を与える。Pseudomonas sp.113から本酵素の遺伝子を単離し、塩基配列を決定した。ORFは921bpからなり、307アミノ酸をコードしていた。推定分子量は34,242で精製酵素のサブユニット分子量と良い一致を示した。本酵素は、D-体のハロ酸に特異的に作用するD-2-ハロ酸デハロゲナーゼと21.5%の相同性を示した。
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