研究課題/領域番号 |
06271242
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田村 坦之 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029257)
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研究分担者 |
鳩野 逸生 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10208548)
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キーワード | 地球温暖化 / 環境リスク評価 / 効用理論 / 総量規制 / 環境税(炭素税) / 投入産出分析(産業連関分析) / 社会的意思決定支援 / 合意形成支援 |
研究概要 |
本研究では、地球温暖化物質(特にCO_2)を規制する種々の方策の有効性を評価する問題を、不確実下の意思決定問題としてとらえ、つぎのような問題を扱うシステ方法論を展開することを目的とした。 1)地球温暖化による環境リスク(海面上昇、異常気象、干ばつ等)の評価問題を、Dempster-Shaferの確率論理を導入した不確実下の価値関数を用いて定式化し、評価すること。 2)経済効果とのトレードオフ分析も含めて、産業界におけるCO_2排出の抑制を目的とした総量規制および環境税(炭素税)の効果を、投入産出分析によって評価すること。 3)家庭における省エネルギーを目的として、生活者のライフスタイル転換に関する意識構造を解析すること。 本年度はとくに2)に焦点をあてて研究を進めた。すなわち、対象地域における経済活動とCO_2の発生量を結びつけ、投入産出分析によって、1)CO_2排出に対して環境税(炭素税)を課税する、2)CO_2排出の総量を規制する、3)両者を併用する、といった方策の有効性を評価することを試みた。その結果、つぎのような結論が得られた。 1)CO_2除去技術が未発達のときには、炭素税はCO_2の総排出量を削減する上で有効ではない。 2)CO_2除去技術が発達して、安価に除去できるようになると、炭素税はCO_2の総排出量を削減する上で有効になる。しかし、炭素税をふやし過ぎるとCO_2の総排出量は急激に増加する。その結果、CO_2の総排出量を最小にする炭素税の値が存在する。 3)このとき、総量規制値の設定が可能になり、各産業部門にCO_2の除去率を割当てることができる。 さらに、今後に残された課題としてつぎの問題を提起することができる。 1)CO_2除去技術を仮定するのではなく、「企業に環境税を稼したときに、企業が省エネルギーあるいはエネルギー利用技術の転換によってCO_2の排出を削減しようと努力する」と仮定した場合について、解析を試みること。 2)複数期にわたる動的モデルを定式化して、CO_2総排出量を削減するためのいくつかのシナリオに対する炭素税の有効な掛けかたを検討すること。
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