研究課題/領域番号 |
06272233
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部, 教授 (00055865)
|
研究分担者 |
山本 順寛 東京大学, 工学部, 助教授 (60134475)
瀧沢 俊也 東海大学, 医学部, 講師 (70197234)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助手 (70216878)
|
キーワード | キノリン酸 / 神経細胞 / 脂質過酸化 / Cキナーゼ / diacylglycerol |
研究概要 |
まず入手し易かった培養ラット肝細胞を用い、これよりミクロソーム分画を精製した。これに、NADPH-cytochrome C reductase、及びFe^<3+>を加え、脂質過酸化発生モデル系を作製し、これにキノリン酸(QA)を加えた結果、酸素消費量は有意に増加し、QAによりミクロソーム膜での脂質過酸化増強作用があることが確認された。 一方アルツハイマー病の神経細胞に見られるneurofibrilary tanglesや、阻血-再疎通障害の際の海馬回の神経細胞のシナプシス可塑性(synaptic plasticity)の変化などにおいて、それぞれ特定の蛋白(tau,F1 Proteinsなど)のCキナーゼ(PKC)による燐酸化促進が意味を持っていることが報じられている。そこで、QAなどにより神経細胞に脂質過酸化が増強した場合、どのような細胞反応、あるいは代謝障害を経て、神経細胞の変性、細胞死がもたらされるのかを追求する一方策として、細胞の脂質過酸化とPKCとの関連を明らかにすることにした。まず、本年度は大豆の膜燐脂質より酵素的に1、2-diacylglycerol(DAG)を精製し、これより空気中の自動酸化により過酸化DAG(DAG-OOH)を作製した。ラット脳よりPKCを抽出し、部分精製し、これに(1)native DAG(通常のDAG)、(2)DAG-OOH、(3)PMA(ホルボールエステル)をそれぞれPKCの活性測定系に加え、その活性化作用を観察した。その結果、DAG-OOHはnative DAGと比較し、反応時間、容量依存性テストから見ても数倍の強い活性化作用が認められ、それは異常に強い活性化作用を持つことで知られるPMAと比較し得るものであった。以上の点から、神経細胞も脂質過酸化増強を見た場合には、異常なPKC活性化などを介し、代謝障害、細胞障害を受ける可能性があることが示された。
|