(1)ゼニゴケミトコンドリアcoxl遺伝子の第4イントロンはS.pombeのcoxl遺伝子の第1イントロン、ゼニゴケ第6イントロンはP.anserinaの第7イントロンとN.crassa第3イントロン、ゼニゴケ第7イントロンはP.anserinaの第9イントロンとS.cerevisiaeの第4イントロンとS.pombeの第2Aイントロン、ゼニゴケ第8イントロンは、P.anserinaの第15イントロンとS.cerevisiaeの第5BイントロンとS.pombeの第3イントロンと同じ位置に存在した。さらにゼニゴケミトコンドリアのcoxl遺伝子の第2イントロン(グリープ□)もS.cerevisiaeの第1イントロンと同じ位置に存在することを見出した。この事実は、これらのイントロンは植物と菌類が分岐する以前から現在の位置に存在し、垂直的に伝幡したと考えられる。(2)ゼニゴケミトコンドリアの25個のグループIIイントロンの塩基配列の相同性から、18個のイントロンが6つの相同性を示すグループを形成するとこ、エキソン結合部位ならびにイントロン結合部位の解析から、各グループのイントロンはリバーススプライシングにより転移増殖したことが推察された。また、イントロンにコードされているマチュラーゼのリバーススプライシング活性によるイントロンの転移増殖の可能性が示唆された。この転移増殖は、一部のイントロンについては蘚苔類と高等植物が分岐した後、近い最近に起きたことも判明した。(3)ゼニゴケミトコンドリアのイントロンにコードされているマチュラーゼのアミノ酸配列の相同性検索により、ゲノム内のイントロンの転移増殖と挙動を共にしたマチュラーゼ遺伝子と、イントロンの挙動とは独立に菌類より水平伝幡したマチュラーゼ遺伝子が確認された。これらのマチュラーゼ遺伝子のアミノ酸配列に逆転写酵素のモチーフとエンドヌクレアーゼ酵素のモチーフがあることから、マチュラーゼ遺伝子自体が転移能力を持っていたことが示唆された。
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