研究課題/領域番号 |
06274204
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大日方 昂 千葉大学, 理学部, 教授 (40012413)
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研究分担者 |
八木 健 岡崎国立共同研究機構生理学研究所, 高次神経機構, 助手 (10241241)
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キーワード | 骨格筋細胞 / 心筋細胞 / C-蛋白質 / ミオシン結合蛋白質 / 筋原繊維形成 / 収縮装置 / cDNA / cDNAトランスフェクション |
研究概要 |
心筋細胞分化の最終局面である収縮装置の形成機構を知るために、ミオシン結合蛋白質であるC-蛋白質に焦点をおき研究した。過去の生化学的研究からC-蛋白質はミオシンの集合やミオシン繊維の安定化に寄与することが知られ、筋原繊維形成の初期に重要であることが推測される。特に、心筋C-蛋白質は心筋のみならず骨格筋でも発生初期に骨格筋型C-蛋白質に先行して出現することから、横紋形成での役割が注目される。 鶏胚骨格筋および心筋cDNAライブラリーより、心筋C-蛋白質cDNAを単離、塩基配列を決定した。心筋C-蛋白質mRNAは心筋および幼若骨格筋細胞にノーザンブロットにより検出された。決定されたアミノ酸配列から心筋C-蛋白質分子構造には6つのイムノグロブリン(Ig)C2ドメインと3つのファイブロネクチン3型ドメインがみられ、既知の骨格筋C-蛋白質の構造と類似点が多いが、分子の中央部とN端側に顕著な違いがみられ、両者の機能の差が示唆された。 心筋C-蛋白質の細胞内での機能を調べるために、心筋C-蛋白質cDNAを発現ベタク-に組み込み、内在C-蛋白質がごく微量と思われる骨格筋細胞株C2に導入した。C2細胞では蛋白質分子全長をコードするcDNAを導入したところ、一過的に発現された心筋C-蛋白質は筋芽細胞内では細胞質内に均一に拡散したが、筋管細胞内ではミオシン重鎖とともに筋原繊維の横紋構造に局在化した。次にこのC末端のIgC2ドメインを欠くdeletion mutantを作成、C2細胞に導入して発現させたところ、発現された蛋白質は筋管細胞においても筋原繊維には集合することなく、細胞質中に拡散したままであった。以上のことから、C-蛋白質は単核節芽細胞内の非筋細胞性ミオシンに結合してその集合を促すことはなく、横紋構造への局在化は横紋筋ミオシン重鎖と協調的に起こること、更にこの局在化はC末端のIgC2ドメインを必要とすることが結論された。
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