研究課題/領域番号 |
06276104
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
西村 善文 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (70107390)
|
研究分担者 |
水野 猛 名古屋大学, 農学部, 教授 (10174038)
石井 俊輔 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 主任研究員 (00124785)
神藤 平三郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80138966)
白木原 康雄 兵庫教育大学, 自然系物理, 助教授 (20150287)
箱嶋 敏雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00164773)
|
キーワード | 蛋白質 / DNA / 転写因子 / NMR / X線結晶 / 高次構造 / 構造生物学 / 分子認識 |
研究概要 |
本研究班は、重点研究「情報認識蛋白質」の中の「蛋白質高次構造のDNAシグナル認識における役割」を担当した。本班は特に、転写因子を中心としてそのDNA認識機構を蛋白質とDNAの複合体の立体構造に基づいて解明することを目指した。その中の一つとして、核内がん原遺伝子産物のMyb蛋白質のDNA結合ドメインと特異的なDNAとの複合体のNMRによる立体構造解析がある。MybのDNA結合ドメインは3個のリピート構造をもち、各々N末から順番にR1、R2、R3と呼ばれている。各リピートは52アミノ酸残基からなる。最小のDNA結合ドメインであるR2R3と特異的なDNAとの複合体の構造解析の結果、複合体中でR2もR3も3本のヘリックスをもち、各々の3番目のヘリックスがDNAの大きな溝に入り込んで塩基を認識する認識ヘリックスとして働いていた。各認識ヘリックスはDNA上でお互いに密に相互作用していて協調的に認識していた。このような認識機構は初めてである。特異的な塩基配列であるAACxGの最初のA、3番目のCの相手のG、5番目のGを各々183番のアスパラギン(R3)、182番のリジン(R3)、128番のリジン(R2)が水素結合により認識していた。そのほかに、DNAの燐酸骨格と特異的に結合しているアミノ酸残基も同定できた。NMRによる構造解析の結果、R1はDNAとは特異的な認識には関与していないことが判った。Myb以外にも、湾曲DNAを認識するHNS、プリンリプレッサーPurRの各DNA結合ドメインに関してもNMRによる構造解析が進行した。また、組替えのときのホリデ-接合を認識するRuvCに関してもX線により結晶構造解析が成功した。以上のように、本研究班では蛋白質による特異的DNAの分子認識機構の解明が進行した。
|