蛋白質高次構造のDNAシグナル認識における役割

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06276104
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 西村 善文 横浜市立大学大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (70107390)
• 研究分担者: 山崎 俊夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (60273710) ; 石井 俊輔 理化学研究所, 分子遺伝学研究室, 主任研究員 (00124785) ; 神藤 平三郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80138966) ; 白木原 康雄 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 助教授 (20150287) ; 箱嶋 敏雄 奈良先端大学院大学, バイオサイエンス科, 教授 (00164773)
• キーワード: 蛋白質 / DNA / 転写因子 / NMR / X線結晶 / 高次構造 / 構造生物学 / 分子認識

研究概要

本研究班は「蛋白質高次構造のDNAシグナル認識における役割」を担当し、次のような成果を上げることができた。(1)Myb蛋白質のDNA結合ドメインと特異的なDNAとの複合体の立体構造をNMRで解析し、非常に重要な塩基配列の認識が2つのヘリックスから突き出たアミノ酸側鎖による特異的な水素結合であることを確認した。またフリーの状態の立体構造と比較して、蛋白側の構造変化を同定し、その構造変化に疎水的なコアの中のギャップが重要で、このギャップを埋めたミュータントでは熱安定性は増加し動的構造も固くなるのにDNA結合能は低下しプロモーター活性も低下することを確認した。(2)チミンダイマーを認識し除去修復するT4エンドヌクレアーゼVとチミンダイマーを含むDNAとの複合体のX線による立体構造解析から、チミンダイマーの塩基対の相手のアデニンが二重らせんからフリップアウトして外側に突き出て蛋白質と相互作用をし、二重らせんの隙間に触媒に関与するアミノ酸側鎖が入り込んでいることが判った。(3)プリンリプレッサーに関しては、DNAフリーの状態の立体構造をNMRにより解析し、X線により解析されていたDNA複合体との構造と比較した結果、特異的なDNA結合に誘導されて新たにヘリックスが形成され認識に関与していることが判った。(4)大腸菌核様体形成に関与するH-NSのDNA結合ドメインのフリーの状態の立体構造を決定しDNA結合機構について考察した。(5)大腸菌RNAポリメラーゼαのC末ドメインの立体構造をNMRで解析し、DNA結合部位や転写因子結合部位を立体構造の上でマップする事ができた。

研究成果

• [文献書誌] Nagadoi,A.: "Structural comparison of the free and DNA-bound forms of the purine repressor DNA-binding domain." Structure. 3. 1217-1224 (1995)
• [文献書誌] Ogata,K.: "Comparison of the free and DNA-complexed forms of the DNA-binding domain from c-Myb." Nature Structural Biology. 2. 309-320 (1995)
• [文献書誌] Ogata,K.: "Solution structure of a specific DNA complex of the Myb DNA-binding domain with cooperative recognition heleces." Cell. 79. 639-648 (1994)
• [文献書誌] Ariyoshi,M.: "Atomic structure of the RuvC resolvase:a Holliday junction-specitic endonuclease from E.coli" Cell. 78. 1063-1072 (1994)
• [文献書誌] Y.H.Jeon: "Solution Structure of the Activator Contact Domain of the RNA Polymerase α Subunit" Science. 270. 1495-1497 (1995)
• [文献書誌] Yamazaki,T.: "NMR Pulse Scheme for the Sequence-Specific Assignment Arginine Guanidino 15N and 1H Chemical Shifts in Proteins." J.Am.Chem.Soc.117. 3556-3564 (1995)