研究課題/領域番号 |
06276105
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
稲垣 冬彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (70011757)
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研究分担者 |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
今川 正良 大阪大学, 薬学部, 助教授 (20136823)
山本 雅 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
竹縄 忠臣 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40101315)
片平 正人 横浜国立大学, 工学部, 講師 (70211844)
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キーワード | GRB2 / SH3 / Sos / Ras / ポリプロリンヘリックス / NMR / Solution Structure |
研究概要 |
GRB2のN端側SH3とプロリンに富んだペプチドとの相互認識 GRB2はSH3-SH2-SH3のドメイン構造によりなるアダプター型の蛋白質であり、EGFレセプターからRasへシグナルを伝達するアダプター分子として働いている。我々はGRB2のSH3とSosのプロリンに富むペプチド(VPPPVPPRRR)との相互認識の機構を明らかにすることを目的として研究を行ってきた。しかしながらGRB2のC端側SH3の場合には、Sosペプチドとの結合は弱く、複合体の構造を決定するにはいたらなかった。幸いにもN端側SH3はSosペプチドと強く結合することがわかったので、NMR法によりSosペプチドとの複合体について立体構造を決定することができた。SH3は3つのβシートが互いに直交して組み合わされたβバレル構造を取っている。この構造は既に報告したPLCγやGRB2C端側のSH3と良く似ている。SH3はN末端とC末端が空間的に近接しており、タンパク質内で比較的独立したドメイン構造をとるものと考えられる。Sosペプチドは3回ラセン軸を持つ左巻きのポリプロリンヘリックス構造を取り、SH3上の浅い溝に結合しているSosペプチドのP2'、P3'はそれぞれY7とY52と相互作用し(S1)、V5'とP6'はY52、F9、W36およびP49により形成される部位(S2)に結合している。またR8'はW36、F47およびRT-srcループとn-srcループにより形成される部位(S3)に結合している。R8'に側鎖はこれらのループ上の保存された酸性残基(E16およびD33)と相互作用している。SH3はポリプロリンヘリックス上で3残基離れた二つのプロリン環(PXXP)を認識するための構造ドメインであることが明らかとなった。PI3KのSH3とプロリンに富むペプチド(RKLPPRPSK)との複合体の構造が報告されているが、結合の方向はSosペプチドの場合と比較して逆方向である。これはポリプロリンヘリックスが偽2回の対称軸を有し、いずれの配向でもカルボニルはほぼ同位置にくるためである。ポリプロリンヘリックスはPXXPの2個のプロリン残基をS1およびS2に入れ込むと同時に、S3に塩基性残基が結合できるような配向で結合していることがわかった。
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