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1997 年度 実績報告書

蛋白質高次構造の蛋白質シグナル認識における役割

研究課題

研究課題/領域番号 06276105
研究機関(財)東京都臨床医学総合研究所

研究代表者

稲垣 冬彦  (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (70011757)

研究分担者 伊倉 光彦  筑波大学, 先端学際領域センター, 教授 (00142688)
水野 猛  名古屋大学, 農学部, 教授 (10174038)
大野 茂男  横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
山本 雅  東京大学, 医科学研究所, 教授 (40134621)
竹縄 忠臣  東京大学, 医科学研究所, 教授 (40101315)
キーワードAsh / Grb2 / SH2 / 立体構造 / N-WASP / フィロポディア / 二成分系 / リン酸基転移反応 / 嫌気センサー
研究概要

稲垣は、Ash/Grb2のSH2と標的ペプチド、pYVNVとの複合体について構造を決定した。SH2は、4本のβ-シートが2本のαヘリックスで挟まれた構造をとっている。この構造はこれまで報告されているSH2の構造と類似している。しかし、結合ペプチドのコンホメーションについては、srcやPLCγの場合には伸びきったコンホメーションをとるのに対し、Ash/Grb2の場合にはターン構造をとることが明らかになった。Ash/Grb2のTrp121が、ペプチドが伸びきったコンホメーションをとって結合することを邪魔すること、さらにペプチドに含まれるAsnの側鎖のアミドプロトンがSH2の主鎖カルボニンと水素結合を形成するため、ターン構造が安定化することがわかった。すなわち、SH2側、ペプチド側からの要請によりターン構造が安定化されること、この様な認識が、Ash/Grb2 SH2を介したシグナル伝達の特異性を与えていることを示した。
竹縄は、Ash/Grb2の標的蛋白質としてN-WASPを同定した。N-WASPは、PHドメイン、DBH、IQモチーフ、プロリンに富む配列、VPモチーフ、コフィリンドメインを含む多機能ドメイン蛋白質である。cdc42との結合により、フィロポディア形成を促進すること、フィロポディア形成には、プロフィリンが関与していることを示した。
水野は、大腸菌のシグナル伝達で重要な役割を果たしている二成分系の構造生物学的研究を行った。この系では、トランスミッタードメインのHisからレシーバードメインのAspへのリン酸基転移によりシグナルが伝えられる。水野は箱嶋との共同研究により、ArcB嫌気センサーの構造を明らかにし、リン酸基転移反応について考察を行った。山本はTobが未知のSer/Thr kinaseによりリン酸化される事を示し、リン酸化部位を決定した。さらにこのリン酸化がTobの細胞増殖抑制活性に関与する結果を得た。現在、稲垣は、TobのBTG homologyの構造を検討しており、リン酸化の意義を解明する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Iwasaki,W.: "Solution structure of midkine,a new heparin-binding growth factor." EMBO J.16. 6936-6946 (1997)

  • [文献書誌] Ogura,K.: "Comformation of an Shc-derived phosphotyrosin-containing peptide complexed with the Grb2 SH2 domain." J.bilmol.NMR. 10. 273-278 (1997)

  • [文献書誌] Miki,H.: "Induction of filopodium formation by a WASP-related actin depolymerizing protein N-WASP." Nature. 391. 93-98 (1998)

  • [文献書誌] Sakisaka,T.: "Phosphatidylinositol 4,5-bisphosphate phosphatase regulates the rearrangement of actin filaments." Mol.Cell Biol.17. 3841-3849 (1997)

  • [文献書誌] Yoshida,Y.: "Cloning and characterization of the mouse Tob Gene." Gene. 191. 109-113 (1997)

  • [文献書誌] Kato,M.: "Insights into multistep phosphorelay from the crystal structure of the C-terminal HPt domain of ArcB." Cell. 88. 717-723 (1997)

  • [文献書誌] 稲垣冬彦: "SH3によるプロリンに富む配列の認識(構造生物学とその解析法)" 共立出版(京極好正、月原富武編), 7(192) (1997)

  • [文献書誌] 稲垣冬彦: "磁気分光法(分析計測法)" 丸善(猪飼篤編), 30(187) (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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