研究課題/領域番号 |
06277104
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
須田 年生 熊本大学, 医学部, 教授 (60118453)
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研究分担者 |
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
金倉 譲 大阪大学, 医学部, 教授 (20177489)
中畑 龍俊 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20110744)
山本 雅之 筑波大学, 先端学際, 教授 (50166823)
中内 啓光 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)
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キーワード | 造血幹細胞 / 自己複製能 / 多分化能 / 受容体型チロシンキナーゼ / シグナル伝達 / 転写調節 |
研究概要 |
血液幹細胞は、多分化能をもつと同時に、造血系を長期間にわたって維持するべく自己複製能を有すると考えられる。このような幹細胞は、血液全有核細胞10^<4-5>個に1個という極めて低頻度でしか存在しないため、その実態は明らかでなかったが、細胞分離装置(FACS)の技術の応用と幹細胞特異的抗原を認識する抗体の開発により、自己複製能のある幹細胞の単離に成功した。今までに下記のような進展をみた。 (1)マウス幹細胞分画(分化抗原陰性KIT陽性Sca-1陽性)では、CD34分子を発現する細胞が自己複製能をもつ幹細胞と、CD34陰性細胞が、自己複製能のない前駆細胞であることを示すことができた。このマウス血液幹細胞から、新規の受容体型チロシンキナーゼをクローニングした。TIE,TEKは、未分化幹細胞に発現されていること、TEKには、複数のリガンドが存在すること、HTKは、赤血球系前駆細胞特異的に発現されていることが明らかにされた。幹細胞および肥満細胞に発現されるc-kit受容体の活性化点突然変異の解析が進み、受容体のdimerizationの重要性機構が指摘された。 (2)ヒト血液幹細胞の解析は、主として臍帯血を用いておこなわれた。IL-6および可溶性IL-6受容体、SCFの組み合わせにより、幹細胞上のgp130受容体にシグナルを入れ、ヒト前駆細胞の増幅に成功したが、幹細胞(LTC-IC)の増幅に関しては結論が得られなかった。また、マ-モセットの造血系を検討し、ヒト造血幹細胞のアッセイ系に応用できる見通しがたった。 (3)赤血球分化における転写制御様式の一つとして、NF-E2の転写活性化と抑制は、Mafとp45の濃度平衡の変化によって行われることが明かとなった。さらに、GATA-1 KOマウスの造血を詳細に解析し、GATA-1は、赤血球の終末分化にも関与していることが明かとなった。
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