研究概要 |
1.種々の白血病細胞株のファイブロネクチンへの接着と接着後の伸展について検討したところ、種々の白血病細胞株がファイブロネクチンには接着するが、多能性分化能を有する細胞株のみがファイブロネクチンとの接着後伸展することを見い出した。また、この伸展にはVLA5とCD44が関与することを見い出した。さらに伸展した細胞では核内へのPKCbの移動が見られることを見い出した。以上の結果より接着後の伸展は、骨髄中への強固な定着をもたらすと考えられた(投稿中)。 2.造血幹細胞の分化段階ごとに接着因子の発現を調べたところ、ヒト骨髄造血前駆細胞が分化段階ごとに接着因子の発現に差を認めることを見い出した.(STEM CELL,1994)。 3.G-CSF投与の化学療法後に末梢血中に造血幹細胞が増加する機序を検討するために、末梢血および骨髄中のCD34陽性細胞上の接着因子発現の差を検討した。G-CSF投与と化学療法後、末梢血CD34陽性細胞が骨髄中よりも増加していた。このことは、G-CSF投与と化学療法によってCD34陽性細胞が能動的に輸送されていることを示していると考えられた。G-CSF投与の化学療法後、CD49dとc-kitの発現が末梢血CD34陽性細胞で低下していることを見い出した。この結果は、骨髄への定着および骨髄からの離脱にこれらの接着因子が関与しているものと考えられた。またG-CSF投与と化学療法後、CD11aの発現が末梢血CD34陽性細胞で増加していることを見い出した(投稿中)。
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