1 マウス胎生14日胎児肝臓および成体骨髄よりThy-1^<10>Lineage marker- Sca-1^+ c-kit^+である造血幹細胞をFACSを用いて単離した。単離した幹細胞をストローマ細胞株AC11と共に培養し、購入した倒立型顕微鏡にて経過を観察した。 2 一定期間培養後、脾コロニー法、CFU-T(oc)法およびCFU-T(it)法にて幹細胞活性やT前駆細胞活性を測定した。以上の幹細胞活性を胎児期と成体期の幹細胞の間で比較した。その結果、胎児期の幹細胞は培養後2〜8週間にてCFU-S活性が増加したが、成体期の幹細胞を培養したものではCFU-S活性が増加することがなかった。このことは、胎児期の幹細胞は成体期のものよりも自己再生能が高いことを示唆している。 3 培養した幹細胞を胎児胸腺器官培養にてT細胞に分化させた。RT-PCRによりT細胞レセプター遺伝子の増幅を行った。購入したブロックインキュベータ-にてDNAを調整し、各PCR増幅について20〜30クローンのN配列を決定した。幹細胞の培養期間によってN配列挿入の度合いが変化するかどうかを解析した。その結果、V_<γ4>遺伝子の場合3週間の培養でN配列挿入の割合が25%から61%に増加した。また、V_<β8>遺伝子の場合には42%から70%に増加した。以上のことは、胎児期の幹細胞がin vitro培養により胎児型から成体型に変化したことを示している。
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