トウモロコシのDNA結合タンパク質MNBlaは既知のタンパク質とは相同性が見られず、新規なタイプのDNA結合タンパク質ではないかと推定されている。MNBlaはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター上のAAGGモチーフに塩基配列特異的に結合し、また、その遺伝子はトウモロコシ染色体上の多重遺伝子群に属すると見られた。トウモロコシからMNBlaと相同性を有する2種類のcDNAをクローン化し、53個のアミノ酸残基からなるごく一部の領域(Dofドメイン)にのみ3つのクローン間で高い相同性が見られることを明らかにしている。今回、MNBlaの様々な領域をβ-ガラクトシダーゼとの融合タンパク質として発現させ、そのDNA結合能を調べたところ、DofドメインがDNA結合に重要な領域であることが明らかとなった。この領域のアミノ酸配列にはCX_2CX_7CX_<11>HXCX_2Cという配列が存在すること、キレーターによって結合が阻害されることなどから、MNBlaはZnフィンガータイプのDNA結合タンパク質であると考えられた。しかしながら、幾つかの点でDofドメインは既知のZnフィンガーと異なっており、新たなタイプのZnフィンガードメインと考えられた。また、データベースの検索でアラビドピシスのcDNAクローン中にDofドメインを見いだすことができ、このDofドメイン中では5つのCysは保存されていたが、Hisは保存されていなかった。そこで、DofドメインのどのCysが重要であるか明らかにするために1番目(Cys49)、2番目(Cys52)と3番目のCys(Cys60)をSerやAlaに変えた変異タンパク質を作成してそのDNA結合活性を調べた。その結果、Cys60上の変異は活性に影響を与えなかったが、Cys49とCys52に変異を持つタンパク質は活性を有しないことが明らかとなった。また、エレクトロポレーション法を用いた解析からMNBlaは転写を促進する可能性が示唆された。
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