コホート研究による発がん要因の評価に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06279102
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 大野 良之 名古屋大学, 医学部, 教授 (10160590)
• 研究分担者: 鈴木 隆一郎 大阪府立成人病センター研究所, 研究員 ; 渡辺 能行 京都府立医科大学, 助教授 (00191809) ; 柳川 洋 自治医科大学, 教授 (30077169) ; 渡辺 昌 東京農業大学, 農学部, 教授 (60051637) ; 富永 祐民 愛知県がんセンター研究所, 所長(研究職) (30124530)
• キーワード: がん / 大規模コホート / 発生要因 / がん発生と死亡 / 産業企業体コホート / 血清バンク / 中間調査 / 信頼性

研究概要

本班は1988〜90年の3年間に約12万人の健康住民コホートについて基礎調査をし、その後10年間のがん死亡ならびにがん罹患状況を追跡、がん発生に関連する要因を検討、評価することを本班の目的とする。
(1) 死亡は国へ報告された死亡小票をベースに、死因・死亡年月日などの調査を毎年実施し、ており1994年末までに確認された死亡者は6,368名(男3,840名、女2,728名)で、そのうちの約1/3が新生物によるものであった。がん罹患状況は、24施設中15施設で調査中であり、1997年末で1,434例報告されている。また、別に産業企業体従業員3万人を対象に同様の追跡調査を実施しており今後、地域住民との比較、若年層のかん発生状況など貴重な資料が得られるものと期待される。
(2) 現在、既に収集したデータ(特に、食品摂取頻度調査、運動調査、家族歴)の信頼性を確認するための小グループが活動している。この結果がまとまることにより、信頼性の確認された質の高いデータを用いてがんの発生要因を検討できることが期待される。臓器別死亡関連要因の詳細については、グループを作り検討を始めた。これらの成果は、21世紀のがん対策の資料やがん研究の推進に用いられる。
(3) 冷凍保管している約5万人分の血清は、がんの分子疫学検討班と討議し有意義な項目につき全例測定することを、計画している。

研究成果

• [文献書誌] Lin Y.: "Descriptive epidemiology of Pancreatic cancer in Japan." Journal of Epidemiology. 8(1). 52-59 (1998)
• [文献書誌] Tominaga S.: "Family history and subsite of gastric cancer:data from a case-referent sutdy in japan." Int.J.Cancer. 76. 801-805 (1998)
• [文献書誌] Watanabe S.: "Pharmacokinetics of soysean isoflavona in plasma,urine and fece of men after ingestion of 60g baked soybean powder." J,Nutr.(in press). (1998)
• [文献書誌] KawaiK.: "The impact of mass screening on gastric cancer mortality in japan." Gastrointestinal Endoscopy. 47(3). 320-323 (1998)
• [文献書誌] Hirose K.: "Smoking and dietary risk factors for cervical cancer at different age group in Japan." J Epidemiol. 8. 6-14 (1998)
• [文献書誌] 溝上哲也: "職域大腸がんスクリーニング後の精密検査受診行動." 産業衛生学雑誌. 40. 31-36 (1998)
• [文献書誌] 橋本修二: "高齢者の社会活動における市町村の対策実施状況と個人の活動状況の関連." 厚生の指標. 45(2). 18-22 (1998)
• [文献書誌] 中村好一: "地域保健活動における情報収集・利用の倫理的問題." 日本公衛誌. 45. 251-261 (1998)
• [文献書誌] 萩本逸郎: "喫煙の肺がん医療費への影響." 癌の臨床. 44(1). 13-19 (1998)
• [文献書誌] 鈴木康司: "健診受診住民における体脂肪率と他の肥満指標との関連." 日本健診誌. 25. 137-144 (1998)
• [文献書誌] Nishi M.: "Mass screening for nauroblastoma targeting children age 14 months in Sapporo City." A Proliminary Report,Cancer. 82. 1973-1977 (1998)
• [文献書誌] Maeda A.: "Body support effect on standing balance in the visually impaired elderly." Aech Phys Med Rehabilit. 79. 994-997 (1998)
• [文献書誌] Koizumi A.: "Evidence on N-acetyltrasnferase allele associated metabolism of hydrazine in Japnese workers." J.Occup.Environ.Health. 40. 217-222 (1998)
• [文献書誌] Murata M.: "Correlation of the mutation of p53 gene and the plymorphism at codon 72 in smoking-related non-small cell lung cancer patients." Int.J Oncol. 12. 577-581 (1998)
• [文献書誌] 磯 博康: "疫学からみたアルコール" 総合臨床. 47(3). 609-614 (1998)
• [文献書誌] Nakayama T.: "Attributable and relative risks." Lancet. 351. 1179-1180 (1998)
• [文献書誌] 星山佳治: "胃がんの予防について" 昭和医会誌. 58(30). 210-213 (1998)
• [文献書誌] 田辺直仁: "心血管病変に対する糖尿病及び糖代謝異常のリスク" 日本循環器管理研究協議会雑誌. 33(2). 151-157 (1998)