研究概要 |
1 妊婦スクリーニングと児の追跡 長崎で年間15,鹿児島で3千例の妊婦スクリーニングを継続中(抗体陽性率:4-5%).長期母乳/人工哺育児の感染率は17/3%で,80%以上の遮断効果を認めた.鹿児島と長崎の成績に有意差はなかった.短期母乳/人工哺育児の感染率は,長崎では有意に高く,鹿児島と高知では差がなかった. 2 人工栄養児の感染経路 臍帯血に約3%がPCR陽性だった.IgA定量で臍帯血中への母体血の混入によるPCR陽性を否定した.臍帯血PCR陽性例のPCRはすべて陰転し,キャリア児すべての臍帯血は陰性だった.人工栄養児の感染も出産後と考えたい. 3 キャリアのプロウイルス濃度と抗体価 沖縄の高校生1015例から,抗体陰性PCR陽性1例,抗体陽性PCR陰性1例,両者陽性15例の計17例のキャリアを検出した.プロウイルス高濃度群14例のtax/gag遺伝子濃度比はほぼ1,低濃度群3例の低濃度群のは6〜7だった.抗体価とプロウイルス濃度は強く相関し,抗体検出に必要なプロウイルス濃度は35コピー/mgDNAと計算された. 4 母子感染をおこしやすい母親 感染児をもつ(T)母親と,ない(nT)母親について,母親の抗体価を酵素抗体法で分析した.抗env抗体価は,長期母乳保育群ではT母親に,人工保育群ではnT母親に有意に高かった. 5 抗体の感染防御効果等 ウサギの感染防御実験で,メラネシアと日本のHTLV-1の交差,抗HTLV-2 IgGの効果を報告した.ワクチニアウイルスワクチンも開発中.羊水(以上三好),唾液中プロウイルスの測定,乾燥症候群の合併,HTLV-1キャリアの肺内HTLV-1感染細胞の侵出,HTLV-1の組込みによる細胞遺伝子の発現修飾(片峰)等の発表がある.
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