研究課題/領域番号 |
06280123
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
北川 知行 財団法人癌研究會, 癌研究所, 所長 (50085619)
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研究分担者 |
白井 智之 名市立大, 医, 教授 (60080066)
森脇 和郎 国立遺伝学研, 名誉教授 (50000229)
神谷 研二 広大, 医, 助教授 (60116564)
木南 凌 新潟大, 医, 教授 (40133615)
小川 勝洋 旭川医大, 教授 (50045514)
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キーワード | carcinogenesis / mouse / oncogene / suppressor gene |
研究概要 |
野性マウスMSMとC3HマウスのF1雑種にDENで誘導した肝がん及びBBN誘導の膀胱がんにつき、マイクロサテライトプローブを駆使してLOH解析を行ったが、48個の原発腫瘍においては全てLOH陰性であった。25の肝がんより培養系を樹立し解析したところ、今度はその95%に第4染色体のLOHが認められた。プローブの数を増やして詳細に検索した結果、共通欠損領域をα-IFN遺伝子部位の近傍からテロメアにかけての10cMに絞ることができた。同部はヒト染色体9p21-22、1p22-terに相同性があり、9p21-22にはMTS-1遺伝子が載っている。そこでマウスのMTS-1遺伝子をクローニングし、これをプローブに用い検索したところ、57%にhomozygous deletionが、24%にLOHが見出された。しかし、原発腫瘍でMTS-1遺伝子の欠失は見出せない。他方、正常のC3Hの肝細胞を長期に培養すると不死細胞株が得られるが、この株にも第4染色体のヒト1pに相同性を有する部分に高率に欠失が生じることも明らかにされた。以上により、マウスの第4染色体上に培養肝細胞の不死化にとり重要な役割を果たす抑制遺伝子があり、その中の一つはMTS-1である可能性が強く示唆された。また膀胱がんの原発巣にもLOHは見出されないが、ヌードマウスに移植すると、その3/5に第4染色体の欠損が生じた。即ち第4染色体上の問題の遺伝子の機能の喪失は、in vivoのプログレッションにおいても重要である可能性が示された。
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