研究概要 |
1.マウスのダイオキシン(TCDD)による発がん感受性に関与するAhリセプターの多形を高感受性(C57B1/6)ならびに底感受性マウス(DBA/2)よりクローニングし、コードしているタンパク質の一次構造を決定した。それぞれのAhリセプターのダイオキシンにたいするKd値をグリセロールグランジエント法で測定したところ0.27nMと1.66nMであった。原因となったアミノ酸変異は375番目のアラニンのバリンへの変異とストップコドンのアルギニンコドンへの変異による延長したC末端部が原因であった。 2.Ahリセプターとヘテロダイマーを形成しDNAに結合するArntがAhリセプター以外のPASタンパク質PerとSimとヘテロダイマーを形成し、さらにホモダイマーをつくることを明らかにした。さらにこのホモダイマーがEボックスと結合し転写を活性化することを見いだした。この結果よりAhリセプターとArntのXREコア配列上の認識部位を推定した。 3.ヒトのAhリセプターcDNAをクローニングした。ヒトAhリセプターは437個のアミノ酸からなっており、マウス(C57B1/6)のAhリセプターと全体では72.5%,bHLHドメインでは100%,FISH法およびハイブリッドセルを使ったサザンブロット法でヒトAhリセプター遺伝子が7p21に存在することを明らかにした。マウスAhリセプターの遺伝子構造を決定したところ37.5kbの大きさをもち11のエキソンに分断されていた。
|