Ahリセプターの転写因子としての作用と発がん感受性

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06280202
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 十川 和博 東北大学, 理学研究科, 教授 (80175421)
• 研究分担者: 井川 俊太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (50241576) ; 藤井 義明 東北大学, 理学研究科, 教授 (00098146)
• キーワード: PAS蛋白質 / ダイマー形成 / 転写活性化ドメイン

研究概要

1.Arntホモダイマーの機能解析
PAS蛋白質とArntのダイマー形式をインビトロで調べたところ、ArntはすべてのPAS蛋白質とヘテロダイマーを形成することがわかった。いずれのダイマー形成においてもHLHドメインとPASドメインの両方が必要であった。またArntがホモダイマーを作り、Eボックスに結合することが明らかになった。この結果から、ArntはPAS蛋白質のDNA認識配列のうちCAC部分配列を認識していることが推定された。
2.AhRとArntの転写活性化ドメイン
DNAトランスフェグション法によって、AhRとArntに転写を活性化する領域が存在することを見出した。Arntの転写活性化ドメインは酸性転写活性化ドメインと思われるが、既知の酸性転写活性化ドメインとはホモロジーはなかった。AhRの分子のC末端側にもArntよりも数倍強い転写活性化領域が存在した。この転写活性化領域は複数個の転写活性化ドメインからできていること、その中でも最も強い転写活性化領域は、グルタミンに富む領域であった。
3,Arntイソフォーム(Arnt2)の単離、発現、機能解析
マウス初期胚cDNAライブラリーからArnt2と名づけたArntのイソフォームをクローニングした。Arnt2は712アミノ酸からなり、Arntと57%のホモロジーをもっていた。ArntとArnt2の発現パターンは大きく異なり、Arntが幅広く、いろいろな組織で発現しているのに比べて、Arnt2は脳と腎臓でのみ特異的に発現していた。

研究成果

• [文献書誌] A.Kobayashi: "Analysis of Functional Domains of a GCBox-Binding Protein,BTEB" J.Biochem.117. 91-95 (1995)
• [文献書誌] K.Sogawa: "Possible Fanction of Ah Receptor Nuclear Translocator(Arnt)Homodimer in Transcriptional Regulation" Proc.Natl.Acod.Sci.USA. 92. 1936-1940 (1995)
• [文献書誌] K.Sogawa: "Transcriptional Activation Domain of the Ah Receptor and Arnt(Ah Receptoy Nuclear Translocator)" J.Cancer Res.Clin.Oncol. 121. 612-620 (1995)
• [文献書誌] Y.Kikuchi: "Purification and Characterization of the DNA-Binding Domain of BTEB,a GC-Box Binding Transoriptionel Factor Expressal in Escherichia coli" J.Biochem.(in press).
• [文献書誌] M.Ema: "cDNA cloning of Murine Homolague of Drosophila Single-minded (Sim),its mRNA Expression in Mouse Development and Chromosonul Localization" Biochem Biophys.Res.Commun.(in press).
• [文献書誌] K.Hirose: "cDNA cloning and Tissue-Specific Expression pf a Novel bHLH/PAS Factor(Arnt2)with Close Sequence Similarity to AhR Nuclear Translocator(Arnt)" Mol.Cell.Biol.(in press).