研究概要 |
本研究では、Fos/Lunのトランスドミナント変異体の発現により、トランスフォーメーション活性じ抑制される発癌遺伝子群の検索を行ない、次にこのような発癌遺伝子のトランスフォーメーションには内在性AP-1の活性化の機構を調べる。また、これらのトランスドミナント変異体をウイルスベクターで、ニワトリ胚の局所に導入し、これらの個体が上述の様な発癌遺伝子による腫瘍形成に対しても耐性を獲得したか否かについても検定する。 1.CEFに発癌ウイルスを感染後、種々のFosまたはJunのトランスドミナント変異株をコードする異なったサブグループに属するウイルスを2重感染法で導入し、トランスフォーメーションの抑制効果を形態観察と、軟寒天中でのコロニー形成活性で検定し、抑制活性の有無で多くの発癌遺伝子を2分する。v-src、v-ves、v-fps、c-Ha-ras、活性rafの抑制が示されたが、mvc、rosトランスフォーメーションは抑制されなかった。特に抑制力の強いトランスドミナント変異株を検索し、その作用機作を推定し、さらに強力なものをデザインして抑制力の検定をくりかえす。 2.v-src,c-Ha-ras、活性raf感染細胞内では、実際にAP-1活性が高まっており、それは、c-JunとFra-2の発現量の増大とFra-2の高レベルリン酸化に由来することが示された。 3.ニワトリ初期胚の肢芽に濃縮ウイルスをマイクロインジェクション法で導入する基本技術を確立した。またウイルス感染を高感度で組織化学染色で検出する為に、ヒト胎盤のアルカリ性フォスファターゼを発現するベクターを作製して感染細胞を鋭敏に検出しながら、感染の効果的な方法(時期、領域、ウイルス濃度)を検討中であり、後肢芽領域をほぼ全感染する方法論が確立しつつある。
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