研究分担者 |
岡田 知代 神戸大学, 医学部, 助手 (80294205)
胡 長灯 神戸大学, 医学部, 助手 (70294204)
KATAOKA Yuriko Kobe Univ.Sch.Med., Dept.Physiology II, Instructor (50233739)
KARIYA Ken-ichi Kobe Univ.Sch.Med., Dept.Physiology II, Associate Prof. (40263371)
|
研究概要 |
1.RasのエフェクターであるヒトRafおよび出芽酵母アデニル酸シクラーゼにおいてRasとの第二の結合を発見しその意義を確立した。本結合はRasによるエフェクター活性化に必須であり、Rasのアクチベータ領域と翻訳後修飾ファルネシル化に依存性であった。第二の結合部位は,Rafではシステインリッチ領域に、アデニル酸シクラーゼではシタラーゼ結合蛋白質CAPとシクラーゼC末端の複合体に存在した。本発見に基づき、がん抑制遺伝子産物Rap1のRas拮抗作用、RasとRap1によるRaf-1,B-Rafの異なった活性調節、Rap1のAキナーゼによる燐酸化によるRas拮抗作用の調節などの分子機構の解明に成功した。さらに、Ras/Rap1によるエフェクター活性制御における第二の結合の強度の重要性を証明した。 2.Rasの複数のエフェクター;Raf,Ra1-GDS,出芽酵母アデニル酸シクラーゼ,分裂酵母Byr2等の間でRas蛋白質エフェクター領域上の結合認識配列が異なる事を、多数のヒトH-Ras1アミノ酸置換変異体との結合解析により証明した。その結果、各エフェクターを識別して結合するRas変異体が得られ、それを用いてRasによる種々の細胞現象における各種エフェクターの機能を識別して解析した。 3.線虫において新規Rasエフェクター候補PLC-εを発見し、遺伝子破壊により機能を予測した。そのヒトホモログを同定し、Ras/Rap1とのGTP依存性結合、Ras,Rap1との共発現による細胞質から各々細胞膜およびゴルジ小体への移送とホスホリパーゼC活性の活性化を示し、Ras/Rap1のエフェクターである事を証明した。また線虫とヒトからRap1に対してGTP依存性に結合するRAドメインとGDP-GTP交換促進活性を持つGEFドメインとの両者を有する二つの蛋白質RA-GEF-1,2を発見した。
|