研究課題/領域番号 |
06280233
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
高橋 和彦 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40117833)
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研究分担者 |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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キーワード | 抗発がんプロモーション / 抗発がんイニシエーション / リグニン / フェルラ酸 / ホルボールエステル / 大腸発がん |
研究概要 |
発癌プロモーターとしてのTPAの作用発現の第一段階である膜受容体への結合に対する影響を検討するために、マウス皮膚より調製した膜分画への[^3H]TPAの結合に対する影響を調べた。高分子化合物であるフェルラ酸の脱水素重合体(DHP-FA)や天然アルカリリグニンに強いTPA結合阻害作用があるのに対して、低分子フェルラ酸(FA)には結合阻害作用は認められなかった。高分子体のTPA結合阻害作用は、強力な発癌プロモーターとして知られているEGCGと同程度であった。マウス脳のcytosol画分を用い、TPAの膜受容体であるCキナーゼ活性に対する影響を検討した。DHP-FA、天然アルカリリグニン、及び、FAのいずれもはTPAにより活性化されたCキナーゼ活性に対する阻害作用は極めて弱く、EGCGの約1/100の活性であり、リグニン類とEGCGとは発癌プロモーション抑制の作用機構が異なることが明らかとなった。 発癌イニシェーターとしてDMBAを、発癌プロモーターとしてTPAを用いたマウス皮膚2段階発癌試験により抗発癌イニシエーション作用を検討した。DHP-FA、ないしは、FAをDMBA塗布5分前に塗布した。その結果、高分子化合物であるDHP-FAは抗発癌イニシエーション作用を示すのに対して、低分子前駆体であるFAにはないことが明らかとなった。抗発癌イニシエーションの作用機構の検討するために、分光光度学的手法を用いて発癌物質とDHP-FAとの相互作用を調べた。発癌物質としてDHP-FAにより変異原性が抑制させるTrp-P1を用いた。DHP-FAの添加によりTrp-P1の蛍光強度は著しく低下し、また、Trp-P1の紫外部吸収スペクトルが変化した。また、透析膜へのTrp-P1の通過がDHP-FAにより阻害さるからなどから、DHP-FAはTrp-P1を物理的に吸着していることが明らかとなった。 ラットを用い、azoxymethane投与によるDHP-FA及びアルカリリグニンの大腸発癌に対する抑制作用を検討した。現在実験継続中であり、結果を得るに至っていない。
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