研究課題/領域番号 |
06280239
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
平井 康夫 (財)癌研究所, 細胞生物部, 研究員 (00260076)
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研究分担者 |
野田 哲生 (財)癌研究所, 細胞生物部, 部長 (10183550)
荷見 勝彦 (財)癌研究所, 部長 (70134608)
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キーワード | 子宮頚癌 / 予備細胞 / HPV遺伝子 / 悪性転換 / 3次元培養 / がん抑制遺伝子 / 多段階発癌 |
研究概要 |
子宮頚部偏平上皮癌の大部分は偏平一円柱上皮接合部および円柱上皮下に分布する予備細胞が発生母地となり、上皮変異形成、上皮内癌を経て浸潤癌に移行するとされている。そこで、子宮頚癌の発癌過程解明のためには、我々が開発維持しているヒト子宮頚部予備細胞由来と考えられる培養細胞系が非常に有用と考え、まず、本細胞の細胞生物学的特性を検討した。本細胞は、病理組織学的に異常なしと判断された子宮頚部の一部より樹立され、長期間の継代培養が可能であった。染色体構成はほぼ2倍体で、HPVゲノムは検出されなかった。さらに、ケラチンサブタイプの蛍光免疫細胞学的方法及電顕での観察より、偏平上皮系及び腺系の両方向への分化が示された。従って、本細胞は予備細胞類似の性格を有する培養細胞系と判断された。 本細胞に対する複数の遺伝子変化によるトランスフォーメーションは、子宮頚癌の発癌過程のin vitroのモデルになると考え、まず、本細胞に対し16型HPV.DNAの導入を試みこれに成功した。16型HPVを導入した予備細胞は、3次元培養及び細胞遺伝学的方法で解析中である。今後はさらに、既知の癌抑制遺伝子の発現を制御するなどの遺伝子操作により本細胞のトランスフォーメーションを試み、試験管内での多段階発癌過程の再現をめざす。遺伝子操作を加えた予備細胞は3次元培養法を用いて形態学的に検討すると同時に、浸潤能を反映するプロテアーゼ活性を解析することにより、子宮頚部の多段階発癌過程におけるHPV遺伝子発癌やがん抑制遺伝子変異の役割の同定を試みたい。
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