本年度はヒトーマウス雑種細胞株を用いて単離した第1番染色体短腕特異的なコスミドマーカー411個のFISHによるマッピングを完了し、さらに1p36.1にマップされたコスミドクローンのうち18個について詳細なオーダーを決定した。個の性かは1995年のGenomics誌Vo1.25の114ページ-123ページに発表した。さらに、種々の組織型の胃癌患者約50例より得られた癌部、健常部から抽出したDNAを用いて第1番染色体短腕での部分欠失を調べたところ、1p34付近において高分化・中等度分化型腺癌において高頻度の欠失を認めた。そこで、さらに胃の高分化・中等度分化型の腺癌の症例18例のパラフィンブロックを追加収集し、癌部、健常部よりDNAを抽出した。以前より用いていたサンプルと合わせて合計26例の高分化・中等度分化型腺癌を用い1p34付近のマイクロサテライトマーカーを用いたPCR法によりLOHを検出し、癌抑制遺伝子の局在を1p34.3-p35の13cMの領域にまで狭めることができた。この成果は現在論文投稿準備中である。今後、新しいサンプルをふやし癌抑制遺伝子の局在をこの13cMよりさらに狭い領域(数Mbを目標)に絞り、さらに、YAC contigを作成しこのYACからコスミドクローンを単離し、エクソントラッピング法、zoo blot法、ノーザン法、cDNAスクリーニング法などを駆使して遺伝子単離へ向けて研究を進める予定である。
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