研究概要 |
1.B細胞表面免疫グロブリン(sIg)のanti-Ig抗体架橋によるB細胞シグナル伝達で細胞内潜伏EBVが活性化される。その解析として前初期遺伝子BZLF1プロモーター(Zp)上にanti-Ig反応領域を同定した。 BZLF1転写開始点から上流-221〜1ZpへCAT遺伝子を連結した-221Zp-CAT及び、そのdelation及びsite変異CATをAkata、Raji、及びEBVゲノム陰性Ramos細胞へトランスフェクションし、anti-Ig処理した後、CAT活性を測定し、anti-Ig反応領域を決定した。anti-Igでの活性化は、TPA及びCa^<++>/カルモジュリン反応領域と同様のZp領域を通して活性化が誘導された。その領域として、ZI,ZII,ZIIIが同定された。 2.Akata、及びRamos細胞にZp-CATをトランスフェクトし、細胞シグナル伝達のアゴニスト、及びアンタゴニストを用い、Zp-CATの活性化、抑制を解析し、EBV活性化調節のシグナル伝達経路との関連を検討した。EBVの活性化で見られたシグナル伝達と一致した結果が得られた。 3.anti-IgによるEBV活性化欠陥Akata細胞クローン株♯78を得た。本クローン株は、EBNA遺伝子の発現が見られ、sIgの発現はあるがanti-Igを添加しても、EBVの活性化が起らない。本クローンのEBV活性化シグナル伝達経路における欠陥部位を検討中である。 4.EBV活性化Akata細胞にEBV活性化の新しいマーカーとしてvIL-10の産生見出した。 vIL-10は、EBV遺伝子BCRF1の産物で、その機能はIL-10と同様にT細胞を抑制や、γ-インターフェロン産生抑制などにより、EBV感染細胞標的cytotoxicT細胞の作用を弱め、EBV陽性B細胞の増殖を促進し、EBVリンパ腫の形成との関連が示唆される。 5.EBV潜伏感染T細胞株をlarge glanular lymphocytic leukemia(LGL)患者の白血病細胞より樹立し、EBV感染状態を解析した。LGL患者の末梢血白血病細胞から、IL-2依存性T細胞株が樹立できた。EBV感染T細胞株の樹立は本研究が最初である。T細胞でのEBV潜伏・活性化の機構の研究材料となる。
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