1.p21^<waf1/cip1>によるサイクリンDとCdk4複合体酵素阻害 p21^<waf1/cip1>のサイクリンDとCdk4複合体酵素阻害作用を生化学的に解析する目的で、マウスwaf1/cip1遺伝子のcDNAを単離し、大腸菌と昆虫細胞に発現させた。精製したp21^<waf1/cip1>を用いて結合実験を行なったところ、p21^<waf1/cip1>はサイクリンDあるいはCdk4それぞれ単独ではなくて、それらの複合体と結合した。また、1分子のp21^<waf1/cip1>が結合しただけではサイクリンDとCdk4複合体酵素の阻害作用を示さないが、複数の分子が結合してはじめて阻害作用を示すことが明かとなった。 2.哺乳動物のCdk活性化蛋白リン酸化酵素(CAK)の単離と解析 マウスCAK遺伝子のcDNAを単離し、この遺伝子産物のC末端を認識する抗体を作製した。この抗体は、マウスやラットのCAK活性を測定することができる。一方、ラット線維芽細胞株における接触阻止では、サイクリンDとCdk4の複合体形成はみられるものの、複合体酵素活性はみられない。これについて解析したところ、接触阻止でもCAKは活性化しているが、Cdk4のスレオニン残基はリン酸化されていなかった。そして接触阻止では、p27^<kip1>が多量に存在することで、CAKがCdk4を基質として認識することを阻害し、結果としてサイクリンDとCdk4複合体酵素の活性化を阻害していることが明かとなった。
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