HTLV-I感染に伴うT細胞の腫瘍化とホルモン過剰産生のメカニズム

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06281221
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 池田 恭治 東京大学, 保健管理センター, 助手 (00222878)
• 研究分担者: 尾形 悦郎 癌研究会, 癌研究所, 部長 (70013761)
• キーワード: HTLV-I / ATL / 副甲状腺ホルモン関連ペプチド / 高カルシウム血症

研究概要

1.ヒトPTHRPを特異的に認識する高感度immunoradiometric assay(IRMA)を開発し、これを用いて、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者で上昇した血中PTHRP濃度が、humoral factorとして高Ca血症の発症に重要な役割を果たしていることを証明した(J Clin Endocrinol Metab 1994)。
2.ATLにおけるPTHRP遺伝子過剰発現のメカニズムを明らかにする目的で、HTLV-I感染T細胞株であるMT-2細胞を用いて検討したところ、protein kinase C(PKC)が恒常的なPTHRPの過剰発現に中心的な役割を果たしていること、さらにPKCによるリン酸化とprotein phosphataseによる脱リン酸化によってbaselineの発見レベルが規定されることを示唆する成績が得られた(submitted to Mol Endocrinol)。
3.さらにその分子メカニズムを解析する目的で、ヒトPTHRP遺伝子プロモーター領域のdeletion mutantsをCAT reporter遺伝子に連結した種々のプラスミドを作成した。
4.PTHRP-CATプラスミドのMT-2細胞へのtransient transfection実験の結果、下流プロモーターのTATAエレメント周辺の数十bpがPTHRP遺伝子の恒常的な転写に関与していることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] 池田恭治,他: "Development of a sensitive two-site immunoradiometric assay for parathyroid hormoue-related peptide" J.Clin Endocrinol Metab. 79. 1322-1327 (1994)
• [文献書誌] 池田恭治,他: "Parathyroid hormone-related peptide in hypercalcemia associated with adult T cell leukemia/lymphomer." Miner Electr Metab. (印刷中). (1995)
• [文献書誌] 遠藤弘一,他: "Evidence for the uptake of a vitamin D analogue (OLT) by a human carcinoma and its effect of" J Biol Chem.209. 32693-32699 (1994)
• [文献書誌] 大和英之,他: "In vivo evidence for pwgressive activation of" J Bone Miner Res. 10. 36-44 (1995)
• [文献書誌] 池田恭治,他: "Humoral hypercal cemia of malignancy:some enigmas of the clinical features." J Cell Biochem. (印刷中). (1995)
• [文献書誌] 池田恭治: "副甲状腺ホルモン関連ペプチドの分子生物学" 日本臨床. (印刷中). (1995)
• [文献書誌] 池田恭治: "新内科学書" 金芳堂(印刷中), (1995)
• [文献書誌] 池田恭治: "内科学" 医学書院, (1996)