研究課題/領域番号 |
06281239
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 均 大阪大学, 医学部, 講師 (70144475)
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研究分担者 |
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
丸山 憲太郎 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
田村 茂行 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 雅智 大阪大学, 医学部, 助手 (80232560)
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キーワード | E-Caderin / α-Catenin / EGFR / EGF / β-Catenin / リン酸化 |
研究概要 |
1.食道癌、胃癌、大腸癌、乳癌の切除組織におけるE-cadherin,a-cateninの免疫染色の結果、E-cadherin(ECD)のみならずα-catenin(a-cat)の染色性の低下とリンパ節転移や予後の不良と相関があることが明らかになった。また、術前の内視鏡下採取癌組織におけるECD,a-catの発現性を免疫染色にて検討したところ、切除組織とほとんど 変わらない結果を得ており、術前にリンパ節転移の予測を行い術式選択の一助となりうると考えている。 2.EGFR発現食道癌細胞にEGF刺激を行うと、細胞間の接着性が減弱する事を旋回培養、分散実験で証明した。EGFの刺激によってECDの蛋白量には変化はないが、免疫染色では細胞間の発現が失われる。この時ECD関連蛋白でリン酸化されているのがβ-catenin(β-cat)であることを免疫沈降で証明し、これがECDの機能を制御していると考えられた。また最近、線維芽細胞が産生するHGFが、同じくECDの機能を制御していることを見いだし、浸潤実験にて食道癌細胞の浸潤を促進することが明らかになった。食道癌、胃癌患者の腫瘍組織をECDで免疫沈降し、抗phosphotyrosineでWestern blottingすることによりβ-catのリン酸化レベルを調べた結果、非腫瘍部の粘膜組織より高い傾向があり、癌の浸潤、転移との関係が示唆された。 3.食道癌10例、胃癌20例、大腸癌15例の術前、術後の血清中のsolubleECDの濃度をELISAによって測定した結果、術前の値はT1症例は対照群の正常人とは有意差は認めなかったが、T2,T3症例では有意に高値を示した。術後2週間目の値は術前高値を示した約60%の症例で低下していたことより、solublcECDが腫瘍マーカーとして有用であることが示唆された。
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