研究概要 |
1.高転移能をもつB16-F10細胞にpSV2neoあるいはpSV2bsr遺伝子で標識した正常細胞由来のY染色体を除くすべての染色体を微小核細胞融合法により導入転移抑制遺伝子マッピングの1次スクリーニングであるヌードマウスにおける造腫瘍性およびin vitroの増殖特性の実験を行った。 2.その結果,3番,4番,6番,12番,17番,18番,X染色体移入クローンは親細胞と同様に高い造腫瘍性が認められた。 3.受精鶏卵法は,受精後10日目の受精鶏卵漿尿膜上の血管へ5X10^5コの細胞を注入後17日目(注入から7日目)に鶏卵の中から胎児を取り出し,胎児の肝臓への転移結節を観察した。 上述の1次スクリーニングにより,in vitro増殖特性および造腫瘍性にたいして抑制効果を示さない,3番,4番,6番,8番,12番,13番,17番,18番,X染色体移入クローンについて転移能を検索した結果,親細胞においては,肝臓への平均転移結節が74.6個で,その他の臓器(心臓,胃など)にも多数の転移結節が認められた。一方,18番染色体移入クローンにおいては,肝臓および他臓器に対して著しい転移結節数の減少が認められ,平均転移結節数は3.1および7.9個であった。これらの値は,統計的にも,有意差が認められた(P<0.05)。他の3番,4番,6番,8番,12番,13番,17番,X染色体移入クローンにおいては,親細胞と同様に高い転移能を示した。 4.さらに,完全なヒト18番染色体を保持するマウスA9細胞から微小核細胞を精製し,X線照射後再びマウスA9細胞に融合させ,薬剤耐性クローンを分離した。分離した細胞クローンについてサザンブロット解析を行い,転移抑制遺伝子の詳細なマッピングのため18番染色体の様々な領域を保持する8つのクローンを分離した。
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