1.MEN1遺伝子の染色体上の位置を詳細に解析するために、11q13の12cMの範囲にマップされた6個のRFLPマーカーを用い、11例のアルドステロン産性副腎腫瘍について欠失地図の作製を行なった。その結果5個の腫瘍でヘテロ接合性の消失がみられた(45%)。欠失領域のひとつはMEN1患者のリンケージ解析によってMEN1原因遺伝子が存在するであろうと考えれている領域とオーバーラップし、遺伝子検索を行なうべき領域を明らかにした。 2.多発性内分泌腺腫瘍症1型(MEN1)原因遺伝子をポジショナルクローニングの手法を用いて単離するために、MEN1のマップされたヒト11番染色体q13領域において転写地図の作製を行なった。11q13領域にマップされるYAC、またはコスミドクローンを用いてこれまでに29種類の遺伝子の一部と考えられるDNA断片をれ単離した。それらをプローブとした種々の解析の結果少なくとも5種類の新しい遺伝子を同定した。これらの遺伝子のうち3種類の遺伝子についてはエクソン-イントロン構造を明らかにした。MEN1患者に特異的な変異があるか否かを調べるためにこれら遺伝子のエクソン部分を増幅できるPCR条件を決定し、MEN1患者における塩基配列を解析中である。
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