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1994 年度 実績報告書

がんの悪性化に関与する遺伝子の単離・同定

研究課題

研究課題/領域番号 06281268
研究機関国立がんセンター

研究代表者

横田 淳  国立がんセンター, 研究所・生物学部, 部長 (10191503)

研究分担者 矢追 義人  国立がんセンター, 研究所・生物学部, 室長 (20109979)
キーワード転移 / がん抑制遺伝子 / チロシンキナーゼ / 肺がん / 大腸がん / 悪性黒色腫 / 染色体欠失
研究概要

発がん機構の解明が遺伝子レベルで急速に進んでいるが、がんの臨床上大きな問題である転移に関与する遺伝子変異は全く明らかにされていない。本研究では、がんの悪性化、特に転移に関わる遺伝子の単離・同定を目的として、ヒトがんの転移巣で集積している遺伝子変化の解析、実験転移を起こす細胞株で転移能と相関して発現変動する遺伝子の探索、細胞接着によってリン酸化されるpp125^<FAK>チロシンキナーゼの機能に関する検討を行ない、以下の結果を得た。
1.ヒト肺がんの原発巣と脳転移巣及び大腸がんの原発巣と肝転移巣における染色体欠失について検討したところ、肺がんでは第2、18、22染色体欠失が、大腸がんでは第13、14、18染色体欠失が転移巣で高頻度に検出された。また、第2染色体長腕にホモ欠失のある肺がん細胞株を見い出し、この領域から肺がんで発現低下している新しいタイプのフォスフォリパーゼCを単離した。
2.mRNAフィンガープリント法であるDifferential Display法を用いて、K1735マウス黒色腫細胞株の転移能と相関して発現変動している遺伝子を探索し、高転移株のみで発現している遺伝子と低転移株のみで発現している遺伝子をひとつづつ単離した。
3.pp125^<FAK>は増殖因子であるFGFによってもリン酸化されることを示した。また、チロシンだけでなく、セリンもリン酸化され、そのリン酸化阻害で蛋白質の寿命が短くなることがわかった。
臨床検体を用いた検討では、がんの悪性化に伴って蓄積する染色体欠失部位を同定し、さらにホモ欠失領域から遺伝子を単離できた。マウス黒色腫を用いた研究でも、転移能と相関して発現変動している遺伝子を2つ単離できた。今後はこれらの遺伝子の生物活性及び臨床的意義をさらに追及していくことによって、転移にどのように関わっているか明らかにしていきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kohno,T.,Yokota,J.,et al.: "Homozygous deletion at chromosome 2q33 in human small-cell lung carcinoma identified by Arbitrarily Primed-PCR genomic fingerprinting" Oncogene. 9. 103-108 (1994)

  • [文献書誌] Ishimaru,G.,Yokota,J.,et al.: "Allelic losses associated with the metastatic potential of colorectal carcinoma" Int.J.Oncol.5. 267-273 (1994)

  • [文献書誌] Yokota,J.and Yaoi,Y.,et al.: "Stimulation of tyrosine-and serine-phosphorylation of focal adhesion kinase in mouse 3T3 cells by fibronectin and fibroblast growth factor" FEBS Lettes. 350. 113-116 (1994)

  • [文献書誌] Shiseki,M.,Yokata,J.,et al.: "Frequent allelic losses on chromosomes 2q,18q and 22q in advanced non-small cell lung carcinoma" Cancer Res.54. 5643-5648 (1994)

  • [文献書誌] Takano,H.,Yokota,J.,et al.: "High incidence of allelic loss at the RB gene locus in advanced human ovarian cancer" Int.J.Oncol.6. 129-135 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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