がん診断治療の基礎研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06282113
• 研究種目: 重点領域研究
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 濱岡 利之 大阪大学, 医学部, 教授 (60028529)
• 研究分担者: 上田 龍三 愛知ガンセンター研究所, 部長 (20142169) ; 鶴尾 隆 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (00012667) ; 谷口 維紹 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (50133616) ; 杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762) ; 鈴木 紀夫 東京大学, 医学部, 教授 (10010050)
• キーワード: がん治療 / がん診断 / 免疫療法 / 放射線治療 / 遺伝子治療 / 分子標的治療 / がん化学療法

研究概要

「がん治療」領域は、がんの適確な診断法の確立と有効な治療法を確立するべく、その基礎となる新たな生物学的知見を集積しすることを目的とする。平成6年度は、その初年度として研究1は22班を、また、研究2は72班を組織して研究に着手し、以下に述べるような諸成果を挙げつつある。即ち、がんの早期診断法・質的診断法では、がんの遺伝子診断、腫瘍関連ムチンとがん診断への応用等において更なる進展が認められた。がん免疫の基礎と免疫療法では、T細胞・B細胞のシグナル伝達機構の解析が進展しつつある。がんの遺伝子治療では、がんに対する将来の遺伝子治療の基礎を築くべく、細胞移植/遺伝子治療の基礎的研究に着手した。がんの分子標的治療ではがんの細胞生物学に関する新しい知見を元に、遺伝子導入法などによる治療法開発への足がかりが得られつつある。がん化学療法では新規天然抗がん物質の検索をはじめ、がん遺伝子や細胞増殖関連シグナル伝達分子を標的としたがん化学療法の基礎的研究が進められている。がんの放射線療法では腫瘍の細胞特性を利用した放射線分割照射治療法の確立や温熱療法抵抗性癌の関連遺伝子からみた細胞特性等が解析されつつある。
本総括班では、がん研究が総合科学であり、長期的展望に立った包括的な研究体制が必要であることに鑑み、これら諸研究の進展を助け、また、その成果を有機的に統合する目的で各研究の進展状況についての情報を集積/評価した。さらに、この情報をもとに、得られた研究成果が将来実際の診療の場で如何に応用出来るようになるのかを常に考慮しつつ、今後の基礎研究を推進すべき問題点について研究した。

研究成果

• [文献書誌] Zou,J.P.: "Recovery of antitumor CD4^+ T cell responsiveness,suppressed in the tumor-bearing state,by release from tumor burden." J.Cancer Res.Clin.Oncol.120. 279-285 (1994)
• [文献書誌] Sugimachi,K.: "Postoperative chemotherapy including intraperitoneal and intradermal administration of the streptococcal preparation OK-432 for patients with gastric cancer and peritoneal dissemination;a prospective randomized study." Cancer Chemother Pharmacol.33. 336-370 (1994)
• [文献書誌] Tanaka,N.: "Cellular commitment to oncogege-induced transformation or apoptosis is dependent on the transcription factor IRF-1." Cell.77. 289-389 (1994)
• [文献書誌] Lee,J.: "Nonenzymatic reductive activation of 7-N-{{2-{[2-(g-L-Glutamylamino)ethyl]dithio}ethyl}}mitomycin C by thiol molecules:a novel mitomycin C derivative on mitomycin C-resistant tumor cells." Cancer Res.54. 2398-2403 (1994)
• [文献書誌] Hida,T.: "Ectopic expression of c-kit in small-cell lung cancer." Int.J.Cancer.8. 108-109 (1994)
• [文献書誌] Takahashi,A.: "Markedly increased amounts of messenger RNAs for vascular endothelialgrowth factor and placenta growth factor in renal cell carcinoma associated with angiogenesis." Cancer Res.54. 4233-4237 (1994)