研究課題/領域番号 |
06282234
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研究種目 |
重点領域研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱岡 利之 大阪大学, 医学部, 教授 (60028529)
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研究分担者 |
緒方 正人 大阪大学, 医学部, 助手 (60224094)
小野 史郎 大阪大学, 医学部, 講師 (80127208)
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キーワード | 担癌 / IL-12 / IFN-γ / 浸潤 / 血管内皮細胞 / 接着分子 / CTLA-4 / 腫瘍免疫 |
研究概要 |
担癌状態ではサイトカインネットワークの異常が惹起され、結果として抗腫瘍T細胞応答が抑制される。しかし宿主に一旦誘導された抗腫瘍T細胞は著しい機能低下が認められるものの担癌状態の進行によっても除去されずに存在している。このような担癌宿主にIL-12を投与すると、抗腫瘍T細胞の制御が解除され、ある種の腫瘍系では腫瘍の完全退縮が誘導できる。IL-12が担癌宿主免疫系に作用して腫瘍を拒絶させる際、腫瘍局所に多数のT細胞の浸潤が認められる。しかしIL-12無効の腫瘍系ではT細胞の浸潤が見られない。そこで実際にIL-12がT細胞の腫瘍局所への浸潤能を亢進させることを直接証明する実験系で解析したところ、IL-12は末梢リンパ組織の抗腫瘍性T細胞を活性化し、T細胞に腫瘍局所への浸潤能力を賦与する事が明らかとなった。この際IL-12により活性化された担癌宿主のT細胞は、VLA-4とVCAM-1及びLFA-1とICAM-1との効率的な分子間相互作用を介して腫瘍組織の血管内皮細胞に接着し腫瘍組織内に浸潤する。またIL-12奏効性腫瘍系では、腫瘍局所で産生されるIFN-γがT細胞の腫瘍組織への誘引に重要な役割を果たす事も明らかとなった。一方、負のシグナルを伝達することが報告されているT細胞上のCTLA-4分子に対する特異抗体を担癌宿主に投与しCTLA-4分子の機能を阻害した場合にも、抗腫瘍T細胞の活性化に基づく抗腫瘍免疫応答が増強される事、しかし担癌後期では他の免疫抑制機構が作動する為CTLA-4分子の機能制御のみでは腫瘍拒絶が惹起できない事が明らかとなった。
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