研究概要 |
我々はAshのSH3に結合する蛋白としてSOS以外にp150,p145,p130,p100,p70を,牛脳より精製した.これらの蛋白の部分アミノ酸配列を決めたところ,p100はDynamin,p130はAblであった.p150,p110,p70は新しい蛋白であると考えられたので各々のcDNAクローニングを試みた.p145(C3G)はCrkのSH3とも結合し,SOSとの相同性が高く,チロシンキナーゼのシグナルをCrk,Ashを介してSOSと同様にRasへ伝える分子だと考えられた.p70は非常にプロリンに富んだ配列を持つ蛋白で既存の蛋白との相同性は認められなかった.一方,Ashのスプライシングによって生じたと考えられる産物,Ash(m),Ash(s)が見つかった.Ash(s)はN末のSH3のみをコードしており,Ash(m)はC末のSH3の頭部分が欠損した形であった.これらの産物をBalb c.3T3細胞にマイクロインジェクションし,PDGF刺激によるDNA合成への影響を調べたところ,DNA合成を阻害しドミナントネガテブに働いていることがわかった.Ash/Grb2はSOS,C3Gを介してRasへシグナルを伝えるだけでなく,分泌,細胞骨格系へもシグナルを伝えていると思われる.
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