研究課題/領域番号 |
06283207
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研究種目 |
重点領域研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
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研究分担者 |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10251448)
丸 義朗 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00251447)
松七五三 仁 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50251442)
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キーワード | シグナル伝達 / がん関連遺伝子 / 受容体型チロシンキナーゼ / Flt / VEGF / EGFR |
研究概要 |
1.Flt-1チロシンキナーゼの解析. 本年度は血管形成すなわち内皮細胞の増殖と分化に関与する受容体型チロシンキナーゼに関して主に解析した。 (1).内皮増殖因子VEGFの受容体であるFlt-1チロシンキナーゼ遺伝子をラットより単離し、その全構造を決定した。これをプローブとして用い、肝組織においては、flt-1は類洞壁内皮細胞にのみ限局して発現すること、この細胞はVEGFに反応して著明な増殖を起こすことを見いだした。 (2).VEGFのもう1つの生物学的作用である血管透過性亢進作用を解析し、これが非常に速やかで一過性の反応であることを見いだした。 (3).バセドウ病における甲状腺血管新生についてもVEGF-Flt系が関与することを強く示唆する結果を得た。 (4).VEGFはFlt-1,KDRの2つのキナーゼを受容体とするが、VEGF関連のPIGFタンパクはFlt-1のみを受容体とすることを明らかにした。 2.EGF受容体チロシンキナーゼの解析. 細胞増殖のシグナル伝達に関し、EGF受容体をモデル系として検討した。 (1).EGF受容体からRasへのシグナル伝達にはアダプターShcが重要な役割を果たすことが明らかとなった。特に自己リン酸化部位を欠失させた変異型EGF受容体においては、Shcを介する系が基本的なシグナル伝達系として作用することを示した。 (2).EGF受容体発現細胞や血球系細胞(BAF3)においては、Shc-SH2領域のみを発現させることにより、DNA合成の抑制やアポトーシスの誘導などが生じることを示した。
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