• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

がん遺伝子の単離とヒトがんにおける異常の解明

研究課題

研究課題/領域番号 06283207
研究機関東京大学

研究代表者

渋谷 正史  東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)

研究分担者 後藤 典子  東京大学, 医科学研究所, 助手 (10251448)
丸 義朗  東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00251447)
キーワードシグナル伝達 / がん関連遺伝子 / 受容体型チロシンキナーゼ / Flt / VEGF / EGFR
研究概要

1.Fltチロシンキナーゼ群の解析.
本年度は内皮細胞の増殖・分化に関与するVEGF関連遺伝子群、およびその受容体Fltチロシンキナーゼ群に関して解析した。
(1).Flt-1,KDRチロシンキナーゼを単独もしくは両者共にNIH3T3細胞に強発現させ、シグナル伝達、細胞増殖活性を調べた。Flt-1単独では、通常、自己リン酸化能も弱く、増殖刺激活性を全く示さなかった。一方、KDRは自己リン酸化能、PLCγのチロシンリン酸化活性は十分認められたが、増殖活性は血清の8分の1程度であった。内皮細胞特異的なシグナル伝達系の存在が示唆される。
(2).マウス腹水がんに対するVEGFの関与を調べるため、マウス型VEGFの高感度測定法を開発した。この方法で調べた結果、マウス腹水がんでは、腹水中に20〜200ng/ml程度の高濃度VEGFが貯留していることが見い出され、腹水産生におけるVEGFの重要な役割が示された。
(3).個体レベルのFlt-1とKDRの発現パターンを調べるため、^<125>I-VEGFによる結合実験を行った。その結果、血管内皮の存在にほぼ一致して^<125>I-VEGFの強い結合が認められた。さらに、Flt-1にのみ結合する。PIGFによる競合阻害実験を行った結果、Flt-1とKDRは約1:1で全ての組織の血管内皮に存在することが明らかとなった。
(4).マウスflt-1ゲノムDNAを解析し、全エクソン・イントロン構造を明らかにした。
2.EGF受容体/Shcアダプターの解析.
多くの受容体の下流で作用するShcに関し、239/240チロシンも増殖刺激で速やかにリン酸化されること、血球系ではアポトーシス抑制に関与することを見い出した。
3.Bcr-Ablチロシンキナーゼの解析.
Bcr-Ablがん遺伝子を欠失変異法により解析し、Ablチロシンキナーゼの特異性およびDNA/アクチン結合領域の両者が白血球発症に重要であることを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sawano,A.: "Flt-1 but not KDR/Flk-1 tyrosine kinase is a receptor for Placeta Growth Factor (PIGF),which is related…" Cell Growth and Differentiation. 7. 213-221 (1996)

  • [文献書誌] Ikeda,T.: "Characterization of the promoter region for flt-1 tyrosine kinase gene,a receptor for Vascular…" Growth Factors. 13. 151-162 (1996)

  • [文献書誌] Yoshiji,H.: "Expression of Vascular Endothelial Growth Factor,its receptor and other angiogenic factors in human…" Cancer Res.56. 2013-2016 (1996)

  • [文献書誌] Maru,Y.: "The dimerization property of glutathione S-transferase partially reactivates BCR-ABL lacking the…" J.Biol.Chem.271. 15353-15357 (1996)

  • [文献書誌] Gotoh,N.: "A novel pathway from phosphorylation of tyrosine residues 239/240 of Shc,contributing to…" EMBO J.15. 6197-6204 (1996)

  • [文献書誌] Wakiya,K.: "A cyclic AMP response element and an ETS motif are involved in the transcriptional regulation of…" J.Biol.Chem.271. 30823-30828 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi